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【都知事選向け特別公開】おいでよ傍聴! 東京都政傍聴日記 4

投稿日:2020年6月24日 更新日:

AFEEマガジン第10号より転載。
2020年7月の東京都知事選挙を前に、ここ数年の不健全図書指定の動きを知ってもらうため、AFEEマガジン連載記事「おいでよ傍聴!東京都政傍聴日記」をWEB公開します。


寄稿:南條ななみ

2016年の秋から、東京都が開催する審議会は原則公開する方針となり、青少年健全育成審議会も11月から傍聴できるようになりました。この動きがあったのは、小池都政のスタート時「徹底的な情報公開」を掲げていたからです。

ただし、傍聴できるようになったといっても当初は審議会の冒頭部分しか傍聴できず、そのたった10分程の傍聴のために西新宿の東京都庁まで行き、それが済んだら帰るだけでした。

最初の二度ばかり傍聴しましたが、正直、おっくうになり、行かなくなりました。しかしその後、「傍聴できるようになったのに、もし誰も傍聴しなくなったら、まずいのではないか?」という思いが浮かびました。2010年に都条例改正騒動があり、私はその頃に表現規制問題を知ったのですが、「普段から行政を監視していないで、条例改正する段になってから騒ぎ出しても遅いのだ」と、あの時教わったからです。私は明くる年の3月から青少年健全育成審議会の傍聴を再開しました。


マンガ研究家・稀見理都さんのツイートのおかげで、第677回東京都青少年健全育成審議会の傍聴人は3名集まった

2017年5月からは審議会の冒頭部分に加え最後の結果の部分も傍聴できるようになりました。この時の傍聴レポートがAFEEのサイト内ブログに掲載されており、そのブログ記事が傍聴初心者のかたのガイドとなっていることかと存じます。余談ですが、その日、開会前に青少年・治安対策本部のオフィス内待合スペースで待っている間に「今回から最後の部分も傍聴できるようになりました」と職員さんに告げられて、予想外の展開に私は心底驚いたのですが、無上の喜びを分かち合える人がその場にいなくて(私のほかに傍聴人は2名いましたが、初傍聴のsakasさんと初対面の人だったので)、私ひとり悶絶することに。誰かと一緒にいるのにあんなに孤独だった記憶は、いまだに忘れられません。

つづく6月、7月は傍聴人が1人でした。1人でもいればゼロよりマシとはいえ、「いつもの人しか傍聴に来ない」「1人しかいない」というのは、行政を監視し暴走を抑止する効果が弱いのでは、という気がして心配でした。そこで、表現関係のイベントで相談したところ、SNSで傍聴を呼びかけてくださるかたや傍聴リピーターのかたも出始めて、少しずつ傍聴人数が増えていきました。

その後2018年5月には傍聴人の定員が16名に増えました(それまでは定員10名でした)。以前は傍聴人の人数分だけ椅子が用意されていましたが、今では傍聴人が少なくても常時16席用意されるようになり、人数によっては間を空けて座ることもできます。

随時マイナーチェンジは行われています。傍聴は権利です。権利は行使しようと思います。

というわけで、東京都の審議会などを傍聴し、都議会中継を視聴しました。AFEEマガジンに寄稿するので、エンターテイメント表現の規制に関連するかもしれない話題について書こうと思います。

前号では2018年7月までの傍聴日記を書きましたので、その続きから。

ここから傍聴日記です。

◆平成30年(2018年)7月24日(火)地域における青少年健全育成推進会議

傍聴人、1名。

青少年・治安対策本部主催で「地域における青少年健全育成推進会議」が発足。第1回会議が東京都庁で開催された。

何を話し合う会議なのか実体がよく判らなかったことと、事前に告知されていた議題「青少年のインターネット利用について」が気になって、傍聴した。青少年のネット利用はこうあるべきというものを大人が話し合って決める趣旨だろうか? と懸念したが、結論からいうと、この議題「青少年のインターネット利用について」は、親が子供のスマホ利用を管理、把握しきれていないようなので、大人達に子供のスマホ利用の実体を知ってほしい、という趣旨での調査報告、といったところであった。現実の防犯には子供に「いかのおすし」(「いかない、のらない、おおきなこえをだす、すぐにげる、しらせる」の頭文字をとった防犯標語。)などと心得を教えているのに対し、ネットに関しては何も教えずにいきなりスマホを持たせている、としている。都としては、スマホを使うのがよくないとは言わない、子供はスマホを使っているものとして対応していく、という。その姿勢はまともだと評価したい。

途中、平成29年の青少年が被害に遭ったSNSの順位としてツイッター、ひま部、LINE、ぎゃるる、ツイキャスというデータを用いたが、単に利用者が多いからその順位なのでは? と思った。

自画撮り被害啓蒙のために作ったという「ちょっと待って、あの日の自分」という動画の青少年むけバージョンを少しだけ見た。都の公式サイト「東京動画」にも同じ動画が置いてあるというので、サイトを確認したが、トップページにはその動画のリンクがなく、カテゴリーから探すにも、どのカテゴリーにあるのか解らなかったので、動画のタイトルで検索をかけた。目的の動画を見つけることはできたが、これでは動画のタイトルを知っていなければ、その動画を目にする機会は少ないのでは、と感じる。

この会議の傍聴には事前申込が必要。次回開催は2019年2月の予定とのこと。開催および傍聴の事前申込については、東京都庁のサイト上にある報道発表にて告知される。

◆8月6日(月) 第698回東京都青少年健全育成審議会

都合がつかなかったので傍聴しておらず。AFEE編集長の坂井さんに傍聴に行ってもらう。

傍聴人、3名。

審議時間、58分。

(この記事では、傍聴できなかった時間を「審議時間」とする。厳密ではない。1〜2分の誤差はあるものとしてご容赦願いたい。)

優良映画、2本推奨。

不健全図書、1誌指定。

〈推奨映画〉

日日是好日

泣き虫しょったんの奇跡

〈指定図書〉

調教覚醒BL

審議会の委員の1人、斉藤れいな都議の8月6日付ブログ記事「青少年健全育成審議会の審議の流れについて」では、会議の流れを解説。

◆9月10日(月) 第699回東京都青少年健全育成審議会

傍聴人、15名。

稀見理都さんがツイッターで、昨今不健全図書のBLの割合が増加傾向にあり、興味のあるかたは是非傍聴を……、と呼びかけたこともあって、傍聴人が多く集まる。残念ながら定員の16名には届かず。とはいえ、もし16名で傍聴したら、会議室は酸欠になるのではないかと思った。無事でよかった。

待ち時間に新宿区の早稲田大学の立て看板問題を教えてもらう。

審議時間、1時間23分。

不健全図書、2誌指定。

審議直前に会長から「本日は映画と図書の諮問をおこないます」と宣言されたものの、閉会時の報告は「不健全図書2誌指定」のみだった。映画の諮問をおこなったが優良映画として推奨には至らなかった、ということかと推測される。

(後日、会議資料が審議会のサイトに掲載されたことにより、この日に諮問された映画は「オズランド 笑顔の魔法おしえます。」だったことが判る)

第27期の最後の審議会。一旦任期を終える都議会議員や退任する委員らが挨拶を述べた。

〈指定図書〉

本当にあった たまらない話

メスイキ×強制BL

閉会後、傍聴人有志が集まりお茶会。マンガ論争主宰・永山薫さんのお誕生日を祝った模様。審議時間が長かったので、私は次の予定が迫っており、お茶会に参加できず残念。

斉藤れいな都議の9月10日付ブログ記事「何が青少年の育成に資するか、という議論」では、「本日議論が長時間に渡ったのは、何の件か、をここに明らかにすることはできませんが、「一体、何が青少年を健全に育成するのか」という点を、それぞれの立場や経験から、委員が真摯に向き合って議論を続けたことは確かです。」との記載あり。 12月に入ってから議事録が公開され、映画の諮問で議論が起きたことが見て取れる。

◆9月19日(水) 平成30年 第3回都議会定例会

本会議、初日。

傍聴していないが、東京都人権条例案が話題になったので記す。

これに先立つ9月12日、都議会定例会告示日に知事提出議案・第169号議案「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」(通称、東京都人権条例)案の全文が明らかになった。おときた駿都議により条例案全文のpdfがブログで公開される。

◆9月26日(水) 平成30年 第3回都議会定例会

本会議、代表質問。

傍聴しておらず。

都議会立憲民主党・民主クラブ(以下、立憲・民主)・藤井とものり都議が東京都人権条例案について質問した。知事に対し、LGBTとヘイトスピーチだけでなく他の人権もひとしく尊重されるべきではないか、と質問。総務局長に対し、この条例で何が変わるか、LGBT差別はどのように変わるか、質問。

知事より「さまざまな人権に関する不当な差別を許さない」と答弁にて表明される。総務局長代理次長より「いかなる種類の差別も許されない」「性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いを禁じる」と答弁あり。

なお、9月25日、新設の条例案は条文全文を東京都のサイト上に公開してほしい旨東京都総務局にメールしたところ、即日返信があった。

条例案全文は、平成30年第三回都議会定例会の議案に掲載されており、議案は、以下の場所で閲覧することが可能。

・都民情報ルーム(東京都庁第一本庁舎3階)

・東京都議会図書館(東京都議会議事堂2階)

サイト上には議案は公開されておらず、都議会関係者でない一般の者が新設の条例案全文を閲覧するには、これらの場所へ行く必要があるようだ。

閲覧は無料だが、写しを希望する場合には別途実費が発生するとのこと。

◆9月27日(木) 平成30年 第3回都議会定例会

本会議、一般質問。

傍聴していないが、コンビニの成人雑誌について質問があったので記す。

都民ファーストの会 東京都議団(以下、都ファースト)・馬場信男都議がコンビニエンスストアの成人雑誌の陳列について質問。千葉市のミニストップの事例を挙げ、性的感情を刺激する図書類が青少年の目に触れないように取り組んでいくべきであると意見を述べる。

青少年・治安対策本部から答弁。現在コンビニ事業者の自主的な取り組みとしてビニール等の包装と仕切り板を実施していることを説明。

すでに実施されていることが報告されたのみであり、おそらく、この答弁によって規制がより強化されるわけではないだろうと思われる。

◆10月2日(火) 都議会総務委員会

質疑。

インターネット中継を視聴した。

総務局に対し「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」について各会派から質問あり。

立憲・民主・西沢けいた都議から、この条例が表現の自由を侵害しないかなどを確認する質問がされる。

長時間に渡る議論となり、議事録をまとめるのは大変だとは思うが、なるべく早めに議事録を公開してほしい。

◆10月3日(水) 都議会総務委員会

採決。

インターネット中継を見ようとしたが、13時を過ぎても生中継が始まらない。東京都議会に電話で問い合わせたところ、委員会が予定時刻を過ぎてもまだ始まっていないことが判った(翌日の新聞報道によると、もめていたようである)。

21時すぎに開会した模様。東京都人権条例案について各会派から発言あり。東京都議会自由民主党(以下、自民党)から議論が不十分であることを理由に継続審査の動議が出される。日本共産党東京都議会議員団(以下、日本共産党)から知事の職権に歯止めをかける修正案が提出される。立憲・民主から国民の自由を侵害しない、表現活動が萎縮しないことなどを記載した付帯決議案が提出される。しかし、いずれも反対され、原案のとおり可決された。21時45分頃閉会した模様。

総務委員会に都議会立憲民主党・民主クラブから提出された付帯決議案 賛成少数により否決された

◆10月5日(金) 平成30年 第3回都議会定例会

本会議、最終日。

傍聴していないが生中継を視聴。

本会議の採決の際、傍聴のポイントは「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」案は「第169号議案」と呼ばれることである。これを覚えておかないと、傍聴していても東京都人権条例案の採決をうっかり聞き逃しかねない。初心者に解りにくい運営はなかなか変わらない。どうにかならないだろうか。

第169号議案採決は、都ファースト、都議会公明党、日本共産党、立憲・民主、日本維新の会 東京都議会、都議会生活者ネットワークが賛成。自民党が反対。かがやけTokyoが棄権。賛成多数で可決、成立した。

◆10月9日(火) 第700回東京都青少年健全育成審議会

傍聴人、4名。

第28期の最初の審議会。任期は2年間。都議会議員は前期と同じく奥澤高広都議、斉藤れいな都議、のがみ純子都議、早坂義弘都議が審議会委員に選任された。

審議会会長には新任で元生活文化局職員の清宮(せいみや)眞知子氏、会長代理には新任で元読売新聞論説委員、文化部にいたこともあり出版にも明るいとされる天日(てんにち)隆彦氏が選任された。

審議会の運営について議論がおこなわれ、審議の部分は非公開とすること、議事録は氏名を伏せることが決定された。

これら冒頭部分で1時間近くかかった。

審議時間63分。

優良映画、2本推奨。

不健全図書、1誌指定。

〈推奨映画〉

シンプル・ギフト はじまりの歌声

いろとりどりの親子

〈指定図書〉

嫌いじゃないけど人間てコワイ!!

◆11月12日(月) 第701回東京都青少年健全育成審議会

傍聴人、4名で傍聴開始。開会後に3名到着し、都職員さんが確認した結果、あとから来た3名も最後の部分を傍聴できることになった。そのうえで、都職員さんは「3時半から審議会を開始しますので、次回お越しの際は間に合うようにお越しいただければ……」と案内していた。あくまでも傍聴受付は3時半までという姿勢である。途中から傍聴することは全く想定していなかった模様。単純な疑問だが、遅れてきた人は途中(キリのよいところ)から傍聴するというのでは何か問題があるのだろうか。

議事の冒頭に「本日の傍聴人は○名」と宣言されるので、この回の傍聴人は議事録には4名と記載されるかもしれない。

審議時間55分。

優良映画、1本推奨。

不健全図書、2誌指定。

〈推奨映画〉

Merry Christmas!〜ロンドンに奇跡を起こした男〜

〈指定図書〉

看守は2度も3度も×××される。

にょたいか天罰!

斉藤れいな都議の11月13日付ブログ記事「この春から、青少年健全育成審議会で優良映画の推奨数が増えている理由」では、優良映画推奨が増えている背景に早坂都議の提案があったことを紹介している。

平成30年度千葉市青少年問題協議会では会次第「5 報告」の「(6)その他」でコンビニ向け成人雑誌対策について報告された

【番外編】

◆8月31日(金) 平成30年度 千葉市青少年問題協議会

傍聴人、2名。うち1名は途中で退室。

コンビニ成人雑誌のカバー販売事業について、報告あり。曰く、「本事業は実施困難と判断。事業予算39万2千円は不要額として計上した。」とのことであり、千葉市によるコンビニ成人雑誌対策事業は一旦終息した。

「千葉市では条例にもとづき、青少年への成人向け雑誌の販売は、青少年サポートセンターと補導員がコンビニを見回っている。年齢の表示、ビニールやヒモをかけることが実施されている。本事業はさらに表紙にフィルムをかける計画だった。

コンビニ各社から難色を示され、昨年8月に本事業は実施困難と判断した。

一方、ミニストップが独自に内部検討し、昨年12月から成人雑誌の取り扱いを中止。ミニストップの取り組みは千葉市の課題を根本から解消するもの。」と説明あり。

ところで、昨年、平成29年度の青少年問題協議会の議事録がいまだ公開されていない。28年度の議事録がサイトに掲載されたところで更新が止まっている。

AFEEマガジン第8号の「おいでよ傍聴! 東京都政傍聴日記」記事では、平成29年度の千葉市青少年問題協議会の内容を次のように書いている。

「コンビニエンスストアでの成人雑誌販売方法について。この件、協議事項ではなく、報告事項に入っている。

曰く、千葉市は雑誌の表紙にカバーをかける販売方法を試験的に行う予定であるが、コンビニ店舗と折り合いがつかず、実施に至っていない。堺市の例がモデル的になっており、コンビニ業界でこの件は非常に抵抗が強いとの由。

コンビニ成人雑誌対策は決定事項なので、なんとしても実施しなければならない。コンビニは緊急時のライフラインとして日頃から市に協力してもらっており、コンビニとの関係は良好に保ちたい。店に負担をかけない方法のアイディアを出すなどして交渉を続ける。というのが、9月1日時点の青少年問題協議会の姿勢。」

8月31日は初音ミクの誕生日で、千葉市営モノレールでは初音ミクとのコラボデザインである千葉市のマークが改札口に掲出され、初音ミクが描かれた車両が走っていた

これに対し、今年、平成30年度の千葉市青少年問題協議会では「昨年8月に本事業は実施困難と判断した。」とのみ述べるに留まった。

昨年の協議会での説明では、表紙にカバーをかける販売方法は断念せざるを得ないが、「コンビニ成人雑誌対策は何としても実施しなければならない」「交渉を続ける」という姿勢だった。その姿勢だった事実を公表したくないのだろうか?

たったそれだけのことを公表したくないということは信じられないが、一年以上経っても議事録を公開しないのはなぜだろうか。私が8月に電話で、議事録を公開する予定はあるかどうか、千葉市こども未来局こども未来部健全育成課に確認したところ「議事録公開の予定はある。現在準備中で、準備ができ次第、議事録を公開する。」という回答だったのだが。

途中で情勢が変わることはあるのだから、変に隠蔽などせず、正直でいることが肝要であろう。千葉市は昨年度と今年度の青少年問題協議会の議事録を早く公開すべきである。

というか、去年も今年も傍聴人は私1人だったので、私しか書く者がいないと思うから書いている。議事録を公開されないと、私の記事がウソかホントか誰にも判断してもらえないので、勘弁してもらいたい。

ところで、大阪・堺市のホームページでは9月6日の更新で、平成30年度「堺市安全まちづくり会議」会議録概要(平成30年7月12日開催)が公開された。

その中に「ク 主な取組実績(昨年以降)について」として次のとおり記載がある。

「「コンビニエスストアと連携した性表現対策」について、(略)本取組が市内外で多くの反響を呼び、本市と同様の取り組みを実施予定であった千葉市の働きかけにより大手流通グループが、全国7,000店舗で成人向け雑誌そのものの販売を中止することになった。」

堺市はイオングループの動きを「千葉市の働きかけ」による結果と見ていることが判る。議事録に記載されれば簡単に訂正することはできない。おそらくこの記載は変更されないだろう。

【おまけ】

◆9月12日(水)映画「海を駆ける」鑑賞

AFEEマガジン第9号で触れていた、2018年5月の第695回東京都青少年健全育成審議会で諮問され、優良映画として推奨がつかなかった作品である。

「海を駆ける」は5月26日公開の作品だった。審議会の会議資料は6月21日に公開され、そこではじめて諮問されたものの推奨がつけられなかった映画作品があり、それが「海を駆ける」であることが判った。しかし6月21日には「海を駆ける」は東京都内の映画館では上映されておらず、観ることはできなかった。

幸いにも9月8日のキネカ大森での上映開始を待って観にいくことができた。会議資料が早く公開されていれば、もっと早く観ることができただろう。東京都が推奨をつけなかった映画作品を観るという都民の選択を阻止されそうになったことは残念である。

[おわりに]

気がついたら連載4回目となりました。今までこの記事は「おいでよ傍聴! 東京都政傍聴日記4」のように通し番号をつけていませんでした。実は3回目ぐらいから、通し番号をつけておけば親切だったな、と思い始めていました。次号以降も続くのかどうか、全く決まっていませんが、今回で終わりだとしても連載4回まで続いたということが判りやすいので、つけてみることにしました。

さて、毎度東京ローカルの話で恐縮です。ローカルの話とはいえ、東京には出版社が集中しているため、東京の出版社が出した本が条例で規制されると全国の読者が買えなくなるという影響が出ます。ネットショップは条例の範囲外であるにも関わらず、企業側が東京都に「協力」して、不健全指定図書が大手のネットショップで販売されなくなっているというのが現状です。

2020年の東京五輪に向かって、表現規制を望む勢力は東京を浄化しようとしてきています。その動きは、東京都内だけでなく日本全国に影響を及ぼしているのです。

東京都青少年健全育成審議会の委員の1人、斉藤れいな都議は最近、ブログで、青少年健全育成審議会について「公開できる情報は審議会規則上限定されていますが、中の雰囲気などはできる限りお伝えして行きたいと思います。」と、情報公開が難しい中で可能な限り発信してくださっています。

ただ、私はそもそも情報公開が難しい状況であることに非常に疑問を感じます。以前は月曜の審議会のあと、不健全指定図書のタイトルなどを翌日発表していましたが、2016年9月から「指定告示前の駆け込み購入を防ぐため」として金曜の告示(不健全指定開始)の前日である木曜に発表することとし、その日までタイトルを伏せておくことになりました。しかし、図書のタイトルなどの発表が済んでも、議事録が出るまでは何が議論されたか口外無用というのは、相当の理由もなく、全く理解できません。「東京都青少年健全育成審議会の運営等」という審議会のルールが書かれた資料を読むと、会議資料は審議会終了後およそ10日後、会議録は審議会終了後およそ1か月後と会議録等の公開時期を設定しています(現状では議事録が出るまで2〜3か月かかっています)。ですが、議事録が公開されるまで審議会で何が話されたのか秘密にする根拠は書かれていません。理由もなく、一定期間、情報を伏せているだけなのではないでしょうか。

今年5月開催の第695回青少年健全育成審議会の議事録を見ると、議事録を早目に公開してほしいという要望が届いていたことが分かります。「指定となった不健全図書の公開と同時に公開してほしい」という要望だそうですが、私もこの意見には賛成で、不健全指定図書が発表される木曜日には議事録を、せめて要点のみの抄録でもいいので公開してほしいです。なぜなら、行政が世間に出回っている商品を不健全指定し、販売に制限をかける際に、どのような意見が出て指定の判断がなされたのか、その経緯が非公開というのでは筋が通らないと考えるからです。

答申理由に「著しく性的感情を刺激し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがある。」とありますが、これは都条例8条の条文をなぞっているだけの文言です。あいまいであり、その図書のどこが問題なのか、具体的に指摘していません。

そして、そのあいまいな発表により、不健全図書指定を聞いた人はそれぞれ「ここが引っかかったのではないか」「ここが不健全な表現と判断されたのではないか」と憶測するしかなく、その結果、表現活動の萎縮を招いています。

表現活動を萎縮させ、ネット販売に影響を与えて国民の消費活動を制限し、不利益を与える。それが税金を使ってすることなのでしょうか。

皆さんのご協力で毎月の審議会には傍聴の人が集まるようになりました。AFEEブログ「東京都青少年健全育成審議会に行ってきました!」、そしてこの記事「おいでよ傍聴!」はある程度の役目は果たしたかと思います。今後もより多くのかたに不健全図書、有害図書に関心を持っていただければ嬉しいです。

東京都の審議会の傍聴の行き方はAFEEのサイト内ブログ(https://afee.jp/2017/05/29/7777/)に掲載されています。参考にしてください。

おいでよ傍聴!

東京都青少年健全育成審議会 傍聴の概要 平成30年(平成30年12月現在)

日付 会議名 傍聴人数 審議時間 答申内容
平成30年 1月15日(月) 第691回東京都青少年健全育成審議会 3名 40分 不健全図書2誌指定
2月13日(火) 第692回東京都青少年健全育成審議会 3名 35分 不健全図書2誌指定
3月12日(月) 第693回東京都青少年健全育成審議会 10名 45分 不健全図書2誌指定
4月9日(月) 第694回東京都青少年健全育成審議会 8名 57分 不健全図書2誌指定
5月14日(月) 第695回東京都青少年健全育成審議会 4名 118分 優良映画2本推奨

不健全図書2誌指定

6月11日(月) 第696回東京都青少年健全育成審議会 5名 67分 優良映画3本推奨

不健全図書2誌指定

7月9日(月) 第697回東京都青少年健全育成審議会 7名 58分 優良映画1本推奨

不健全図書2誌指定

8月6日(月) 第698回東京都青少年健全育成審議会 3名 58分 優良映画2本推奨

不健全図書1誌指定

9月10日(月) 第699回東京都青少年健全育成審議会 15名 83分 不健全図書2誌指定
10月9日(火) 第700回東京都青少年健全育成審議会 4名 63分 優良映画2本推奨

不健全図書1誌指定

11月12日(月) 第701回東京都青少年健全育成審議会 7名 55分 優良映画1本推奨

不健全図書2誌指定

12月10日(月) 第702回東京都青少年健全育成審議会 6名 64分 優良映画2本推奨

不健全図書1誌指定

以降の開催日程(予定)

平成31年1月15日(火)15:30〜17:00 第703回東京都青少年健全育成審議会

平成31年2月12日(火)15:30〜17:00 第704回東京都青少年健全育成審議会

平成31年3月11日(月)15:30〜17:00 第705回東京都青少年健全育成審議会

原則、毎月第2月曜日 ※日程は変更になる場合があります

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