AFEEでは、国で行われている誹謗中傷等の違法・有害情報に対するプラットフォーム事業者による対応の在り方についてへのパブコメを提出いたしました。Discordに寄せられた会員の皆さんの意見をベースに、Discordの公開役員会で議論致しました。
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誹謗中傷等の違法・有害情報に対するプラットフォーム事業者による対応の在り方についてへの意見
代表 坂井崇俊
1.総論
1-2.プラットフォーム事業者に求められる積極的な役割
プラットフォーム事業者の積極的な役割を検討することについて
多くのプラットフォーム事業者は特定電気通信役務提供者であると想定されることから、現行のプロバイダ責任制限法の趣旨に定められた特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限については、現行と変わらない範囲での役割を果たすことが望ましい
2.全体の検討を通じて留意すべき事項
プラットフォーム事業者が措置を講じることに伴って生じる言論空間への影響 や経済的負担の観点
プラットフォーム事業者が措置を講じることにより、発信者に対して相当な萎縮効果を働かせることになるため、本観点は非常に重要である。なお、言論空間には文字や音声情報以外の図画や映像等も含まれていると理解している
内外無差別の原則
海外プラットフォーム事業者の国内での法人登記の推進などを通じて、法律上のみならず実務的にも内外の差異がないよう、海外プラットフォーム事業者に対しても実効性を持った施策とすべきである
3.透明性・アカウンタビリティの確保方策の在り方
コンテンツモデレーションに関する申請窓口等の透明化や、コンテンツモデレーションの実施又は不実施の判断に係る理由の説明等
別途、自由記載欄に記載したが、コンテンツモデレーションの対象範囲は違法情報に限定するべきである。その上で、申請窓口等の透明化や判断についての理由の説明は特定の要件を満たすプラットフォーム事業者に対して強く求めるべきである
3-2.運用方針及び運用結果の公表
(1)コンテンツモデレーションの運用方針(実施基準、実施の手続)
判断基準、措置の実施のために経ることを要する手続を公表することについて
透明性の確保の観点から賛成である
(2)コンテンツモデレーションの運用結果
各種数値を公表することについて
日本のユーザに関連する投稿等に関するものとすることについて
透明性の確保の観点から賛成である
削除の具体的手法(脚註2)
ブロッキングを削除の手法とすることには憲法に定められた通信の秘密の観点から反対である
3-4.その他透明性・アカウンタビリティの確保が求められる事項(運用体制等)
AI等による自動処理
AI等の情報技術を用いることは賛成であるが、その結果、発信者の権利を不当に害してしまった割合や件数は公表すべきである
その他透明性・アカウンタビリティの確保が求められる事項
いわゆるシャドウバンや各国によって検索結果が異なるなど、ユーザが「騙された」と感じるような措置を施している場合、その内容を公表すべきである
3-5.手続の適正性確保のために透明性・アカウンタビリティの確保が求められる事項
(1)コンテンツモデレーションの措置申請窓口
(全般)
ユーザ利益の保護のため賛成である。また、一定の要件を満たす海外プラットフォーム事業者においては日本語による窓口を設けるべきである
(2)個別のコンテンツモデレーションの実施又は不実施に関する理由
(全般)
ユーザ利益の保護のため賛成である。特にアカウントの停止・凍結やアカウントの再作成の制限等については、本文書記載の通り影響が大きいため、最大限の手続的保障がなされるべきである
(3)コンテンツモデレーションに関する苦情処理
誠実な対応をプラットフォーム事業者に求めること
ユーザ利益の保護のため賛成である
4.プラットフォーム事業者が果たすべき積極的な役割
4-1.投稿のモニタリングのフェーズ
(1)権利侵害情報の流通の網羅的なモニタリング
網羅的にモニタリングすることを法的に義務づける
表現の自由に著しい萎縮効果をもたらすため、反対である
(2)繰り返し多数の権利侵害情報を投稿するアカウントのモニタリング
(全般)
表現の自由に萎縮効果をもたらすことから、特定のアカウントやユーザに対して、法律上モニタリングやアカウント再作成を制限することを義務づけることについて反対である
4-2.要求・請求のフェーズ
(1)削除請求権
(全般)
検討すべき課題は多く、慎重な検討が要される事項である。しかしながら、いわゆるネットリンチと言われるような事案が多く発生していることに対しては憂慮している
(2)プラットフォーム事業者による権利侵害性の有無の判断の支援
(全般)
検討すべき課題は多く、多くの検討が要される事項である。しかしながら、実運用上プラットフォーム事業者が自身の判断で削除をしづらく、結果的に被害が拡大している現状については憂慮している
(3)行政庁からの削除要請を受けたプラットフォーム事業者の対応の明確化
行政庁から、違法・有害情報の削除要請
児童ポルノ禁止法等に係る情報等、違法情報の削除要請については現行の運用で問題ないと考えられる。さらに踏み込んで要請に応じることを義務づけることは反対である。また、有害情報については、インターネット・ホットラインセンター等が、実在の者の権利を侵害していない創造物などの削除要請を行うことで、プラットフォーム事業者に対して多大な影響を及ぼしている可能性があり、仮に行っているのであれば、中止するべきである
4-3.削除等の判断・実施のフェーズ
(1)プラットフォーム事業者による削除等の義務付け
(全体)
表現の自由の観点から反対である
5.その他
5-1.検討対象となる情報の範囲
(全体)
賛成である
5-2.行政の体制や手続
行政の体制や手続について留意すべき点
特に海外プラットフォーム事業者に対しての実効性を持たせる体制や手続きとすべきである
自由記載
◆違法・有害情報の定義
本ペーパーにおいて「違法・有害情報」の定義がなされておらず、行政、政府委員、国民それぞれの間で、共通認識に基づいた議論がなされていない可能性があることに非常に危惧を覚える。特に、「違法ではないが有害な情報」は事前の問合せの回答では、「どのような情報が有害情報であるかについては、その言葉を向けられた方の属性や文脈などによっても変わることから、ある情報が有害情報かどうか、一概に申し上げることはできず」とあるように、範囲が際限なく広がる可能性があり、基本的には「違法ではないが有害な情報」に対してプラットフォーム事業者に対して何らかの義務を課したり、自主的な取組を促すことは反対である。