二〇一六年四月、私たち「AFEE(エーフィー)エンターテイメント表現の自由の会」は、新しい基本理念を採択しました。この基本理念について、副編集長のにしかたコーイチが徹底的に解説します!
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「AFEE(エーフィー)エンターテイメント表現の自由の会」は表現の自由を主張しつつ、マンガ・アニメ・ゲームなどエンターテイメントの全てのジャンルにおいて、わたしたち消費者の権利・利益を守る活動をする団体です。
AFEEは「消費者」の立場にみずからを置くことを宣言します! 実際、これまでマンガ・アニメ・ゲームなどコンテンツを表現する方、表現者の団体はありましたが、エンターテイメントの「受け手」を代表する団体はあまりありませんでした。ですから、日本で初めての「エンターテイメントの消費者」の運動団体であることをめざし、クリエイターなどと協力しながら、今後も活動を継続していきます!
一、エンターテイメントの消費者の権利・利益を守る活動
エンターテイメントの単なる受け手としての消費者ではなく、モノをいう消費者(読者・視聴者・ユーザーなど)として、エンターテイメント消費者の権利・利益が守られる社会をめざします。
そのために、表現の自由に関する調査・研究や消費者のための情報提供・意見発信を行います。
「単なる受け手」だけではなく「モノをいう消費者」へ。こうした運動としては、たとえば「食の安全」分野の場合ですと、消費者主導で生産までおこなう「生活協同組合(生協)」などがあります。私たちが各コンテンツの消費者…マンガの読者・アニメの視聴者・ゲームのユーザーとして、一足飛びにコンテンツの提供まで行う生協のような役割をになうにはまだ時間が要るかもしれません。ですが、そこまでしなくとも、たとえば生協が「農薬漬け」の既成食品に対して「無農薬・低農薬」の安全な食品を提供するように、コンテンツの消費者として「農薬漬け」「無菌状態」のような「健全育成」ではなく「納得できるコンテンツ」を要求する権利はあるはずです!
私たちはこれまでの主張である「表現の自由」を踏まえつつ、その活動を「消費者のため」のものと位置づけなおし、より「正確な情報」をもとに「『賢い消費者』として発言」していきます!
二、表現の自由の絶対的尊重と結果責任
いっさいの表現規制に「表現の自由」「情報アクセスの自由」「通信の秘密」の立場から反対します。
他人の人権を侵害する表現は、その結果に対して責任が伴うべきであり、表現の発信及び受信行為そのものを制限するべきではありません。
いっさいの表現規制に反対する…と明記することは、私たち「AFEE」のなかでも議論があり、勇気がいる決断でした。しかし「表現の自由」のみならず、消費者運動団体として「情報アクセスの自由(知る権利)」「通信の秘密」を担保すべしと主張する以上、ここはルビコン河をわたるべきである…と決めたわけです!
それでも他人の人権を侵害するような表現を、さすがに完全に自由…というのは「身勝手の自由」です。そうではなく「結果に対して責任が伴う」…すなわち「事後的な責任追及」、場合によっては「禁止・処罰」を、あくまで表現の「発表後」に行うのであっても、「事前検閲」に対するじゅうぶんな対案になるのではないか…と、私たちは考えました。
三、権利の主体としての青少年の自由
青少年を一律の保護の対象としてだけでなく、発達に応じて権利の主体として捉え、青少年の自由を最大限に尊重できるよう各種啓発、支援を進めていきます。
特に青少年のエンターテイメントに触れたり、意見を発信したり、表現したい気持ちを歓迎し、積極的にその権利を守っていきます。
「青少年」、あるいは「子ども」は、未来の消費者であると同時に、このメディア化が進んだ社会においては「現在」の消費者でもあります。「青少年健全育成」の考え方は、この青少年を大人からの目線で「健全」という「枠」に押し込め管理しようというものです。その意味では「児童虐待」と根底に通じるものがあると、これまで主張してきました。
メディア化が進む現在、急務なのは「青少年健全育成」ではなく、「消費者教育」の一環としての「メディアリテラシー(=メディアを「読み解く」)教育」のはずです。そしてリテラシー(=読み解く力)をもつ「『賢い』消費者」であれば、年齢を問わず自由にエンターテイメントの世界に参加してほしいと私たちは考えます。
一緒になってメディアやエンターテイメントに触れ、社会に参加していきましょう!
今回、新たに発表する「基本理念」は、最終的に完成されたものではありません。あなたの意見を反映させて、さらに、よりよいものへとアップデートさせていきたいと考えています。皆さんもどんどん意見を寄せてください。それが「参加型の運動団体」である、AFEEだけが担いえる役割なのです!