声明・意見書

2014年日本ユニセフ協会の要望書について意見します

投稿日:2014年6月1日 更新日:

12.繰恵マナ
繰恵マナ:
このコラムでは先日日本ユニセフが全国会議員に送った要望書に対する意見を書いてるわよ。最初に日本ユニセフ協会からの要望書に目を通してね


豪華客船が沈没して、多国籍の人々が、救命ボートに乗りました。

しかし定員オーバーで、男の人たちに降りてもらわないと沈んでしまいます。
そこで、人々は

アメリカ人に対しては、
「あなたはここでヒーローになれる」
と言いました、アメリカ人は、ガッツポーズをして海に飛び込みました。

次にイギリス人に対して
「あなたは紳士だ」
と言いました、イギリス人は、うなずいて海に飛び込みました。

ドイツ人に対しては
「あなたは、飛び込まなくてはならない、それがルールだ」
と言いました、ドイツ人は納得して海に飛び込みました。

日本人に対しては
「あなた、飛び込まなくていいんですか?ほかの男の人は、みんな飛び込みましたよ」
と言われました、すると日本人は、左右を見渡すと慌てて海に飛び込みました

多民族ジョークより引用

今月になって日本ユニセフ協会から児童ポルノの単純所持の要望書が全国会議員に送付されました。単純所持に要望を絞ったことが2008年の緊急要望書との大きな相違点です。今回の要望書を見て皆様はどう思われたでしょうか。

私が思ったことは「単純所持規制を行うべき理由が要望書に書かれていない」ということです。確かに理由らしきものは書かれています。まずは「児童ポルノ事件の被害児童が増えているから」ですか、でもそれは裏返せば単純所持規制をしなくても検挙できるということではないですか、どう単純所持規制の必要性を導き出すのでしょう。もしくは「児童ポルノの単純所持が禁止されていないのは、G8でロシアと日本だけ」だからですか、単純所持を禁止することで生じる効果について説明する必要はないのですか。

これまでの政策を転換する以上は、新しい政策の利点や欠点を調査した上で、新たな政策に舵を切り替えるか否かを国会議員ひいては国民の議論で決めるのが民主主義です。日本ユニセフ協会の要望書は単純所持規制の利点さえも記載がない印象論に徹したものあり、議論に資するものがありません。

ここからは日本ユニセフ協会に代わって単純所持規制の利点と欠点および論点について説明させて頂きます。

・利点
-児童に対する人格権侵害の停止
-児童ポルノ需要の抑制
・欠点
-プライバシー権の侵害
-児童ポルノマーケットのアンダーグラウンド化
・論点
-単純所持規制の効果
-児童ポルノの定義の明確さ
-冤罪の発生、捜査権の濫用

単純所持の直接的な影響は、被害者の意思を超えて何者かが被害者の写真を見れなくなるようになることです。付随して要望書P1の最下部にある被害者の声「私の写真を誰かが見ているのではないか」という恐怖が和らぐこと効果が想定されます。恐怖が和らぐと書いたのには理由があります。単純所持している状態を外から発見することは原理的に不可能であるため「誰かが持っているかも知れない、見ているかも知れない」という恐怖を完全に消し去ることは不可能であると考えられるためです。しかし、少なくとも法制化されることで被害者の心が一定以上救われると言うことはできるでしょう。これに対して個人の私的空間内に公権力が踏み込むことからプライバシー権の侵害になるという意見もありますが、単純所持自体が被害者のプライバシー権を踏みにじっていることから、単純所持者と被害者の人権との間でどちらが重いか天秤を量る必要があります。

次に、これまで逮捕できなかった児童ポルノの購入者などを処罰できるようになることで児童ポルノを手に入れようとする者が減ることが想定されます。これにより児童ポルノマーケットの縮小化が想定されます。ただ、その一方でマーケットがさらにアンダーグラウンド化することも想定することもできます。単純所持により、逆に加害者を裁けなくなる可能性もないとはいえません。事態を予測するために海外の実例が参考になるでしょう。たとえばカナダでは毎年摘発件数が増えています。単純所持を規制しても捜査に支障はないと解釈すべきか、単純所持を規制しても加害者は減らないと考えるべきか、このグラフだけでは何とも言えません。単純所持規制を導入した国における各判決の罪名を単純所持罪、製造罪、頒布罪などの種類ごとに分類した経年変化の統計があってはじめて単純所持規制の効果が計れるでしょう。

また、児童ポルノの単純所持を規制するからには、いかなるものが児童ポルノに含まれるのか国民が判断する必要があります。この基準が不明確である場合には萎縮効果(chilling effects)が発生するでしょう。そのため明確な基準が求められます。我が国の児童買春・児童ポルノ禁止法における児童ポルノの第二条第3項は第1項、第2項と異なり客観的に判断しづらいため、所持を規制する場合には法文の明確化、もしくは悪質でないケースは処罰せず破棄にとどめるなどの工夫が必要でしょう。

最後に、児童ポルノを所持する目的を問わないことにより、これまでよりも冤罪を生みやすくなります。特に日本は自白偏重主義であり、代用監獄という最大23日間拘置できる制度や取り調べの可視化が義務化されていないなどの冤罪の温床を持っています。児童ポルノの単純所持名義を利用した拘留期間中に児童ポルノとは関係のない別件の犯罪捜査、自白の強要がなされることも危惧されます。

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