児童ポルノとは(日本)


このコラムでは、日本における児童ポルノの一般的な解釈について書いていこうと思います。児童ポルノという言葉は「児童」と「ポルノグラフィ」という言葉からの造語ですので、まずはそれぞれについて見てみます。この議論をする上で【法律の定義】【一般用語の定義】で意味合いが違いますので、そこも注意してみましょう

一般的な定義

【児童】小学校に在学するもの(6~12才)
【ポルノ】性的な行為を露骨に表現した写真など
【児童ポルノ】児童(小学生)の性的な行為等を視覚的に描写した画像

参考(辞書:大辞林第三版)
■児童
身体・精神ともにまだ十分に発達していない者。普通,小学校に在学する者をさすが,児童福祉法では一八歳未満の者をいう。

■ポルノグラフィー
性的な行為を露骨に表現した文学・映画・絵画・写真など。ポルノ

■児童ポルノ
児童が関わる性的な行為等を視覚的に描写した画像。児童の定義は国によって異なる。日本の児童福祉法・児童買春処罰法などでは18歳未満の者を児童と規定している。児童ポルノを頒布・販売または公然と陳列したり、そうした目的で児童ポルノを製造・所持・輸出入した者は、児童買春処罰法による処罰の対象となる。

法律上の定義

【児童】18才未満のもの(児童福祉法、児童ポルノ禁止法)
【ポルノ】(法律でポルノを定義しているものはない)
【児童ポルノ】以下の1~3の写真等
1.18才未満の者の性交又は性交類似行為
2.18才未満の者の性器を触ったり、触らせたりする行為で性欲を興奮させ又は刺激するもの
3.衣服の全部又は一部を着けない18才未満の者で性欲を興奮させ又は刺激するもの

参考(法律)
■児童ポルノ禁止法
第二条  この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。
2 (児童売春の定義なので省略)
3  この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一  児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二  他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三  衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの

■児童福祉法
第四条  この法律で、児童とは、満十八歳に満たない者をいい、児童を左のように分ける。
一  乳児 満一歳に満たない者
二  幼児 満一歳から、小学校就学の始期に達するまでの者
三  少年 小学校就学の始期から、満十八歳に達するまでの者

その他の児童ポルノの定義

■児童売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約
現実の若しくは擬似のあからさまな性的な行為を行っている児童の手段のいかんを問わないあらゆる表現若しくは主として性的目的のための児童の性器部位のあらゆる表現

■インターポール(国際刑事警察機構;ICPO)
児童の性的姿態及び性器に焦点を当てた書籍や、音声による表現物を含む、児童の性的搾取のあらゆる描写あるいは児童の性的搾取を助長するようなあらゆる手段
子供の性のイメージは『虐待』または『搾取』であり、『ポルノ』と表現してはいけません

児童ポルノの定義の違い

上記をまとめると、一般人が想起する児童ポルノと法律が定義する児童ポルノには大きな差異があることが分かります。児童ポルノについて議論する場合はこの点を頭に入れておく必要があります。コパイン指標(説明)を使ってまとめると以下のようになります

児童ポルノの定義

上記で一般の人が児童ポルノとしがちという範囲から6才未満を除いている理由は児童=小学生と認識されることが多いため。ただ、実際には乳幼児が性的虐待にあった際の被害は甚大なものがある。
(2014.6.3)法律に含まれないが、一般的に児童ポルノと考えられる範囲を追記

児童ポルノと児童虐待記録物の違い

また、インターポール等が指摘しているような定義を児童ポルノとするのであれば、性的虐待の有無の観点が日本の児童ポルノ禁止法から抜け落ちています。イメージが定着してしまった児童ポルノではなく、より実態を表す児童虐待製造物(CAM;Child Abuse Material)という用語を使うべきだというAFEEの主張はここにもみてとれます。
※「ポルノ」とは一般にお互いが合意をしている性行為を指すため児童という言葉とつなげること自体が不適切だという指摘もある

児童ポルノとCAMの違い

「児童の性的虐待後を写した写真」が児童ポルノではないとされるため、日本の法律(児童ポルノ禁止法)の適用除外となっている

日本における児童ポルノ(法律面)の定義の主な論点

以下に日本の法律面における児童ポルノの定義の主な論点をのせます。上記であったように、一般に認識される児童ポルノの範囲と比べると、法律で定義している範囲が広範で定義が曖昧であると言うところに論点が集中しています

  • 衣服の一部をつけず性欲を刺激するという定義は曖昧で広範
    • 水浴び等をしている児童の写真
    • 自分の子どもの成長記録
  • 18才未満という年齢は適切なのか(女性は16才で結婚可能)
    • AKB等の18才未満の自らの意思で雑誌に掲載されたグラビア
    • 17才のコスプレイヤーをコスプレイベントで撮影した写真
    • 第二次性徴以降の児童に対して、精神医学上ペドフィリア(幼児・小児を対象とした性的嗜好)とは呼べないとされている
  • 性欲を興奮させ又は刺激するものという定義が主観的
    • 一般人の性欲を基準としているが、一般に3才の子どもに発情することは無いため、3才の子どもが法の対象外となってしまうのでは無いか
    • 性欲を持つことを否定する価値観が背景にあるのではないか
    • そもそも、性欲を興奮させ又は刺激しているということを客観的に立証することが難しい
  • 性的虐待の有無が定義に含まれていない(以下の例は児童ポルノに含まれない)
    • 精子が顔にかけられた子どもの写真
    • 獣姦されている写真で児童が衣服を身につけている場合
児童ポルノ禁止法(再掲)
■児童ポルノ禁止法
第二条  この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。
2 (児童売春の定義なので省略)
3  この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一  児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二  他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三  衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの