編集委員ブログ

第51回衆議院議員選挙の候補者アンケート設問の見直し意図

AFEE編集委員の大銀醸です。

2026年の第51回衆議院議員選挙にあたり、弊会では候補者アンケートを実施します。

急な解散となり検討期間の短い中ではありますが、前回2025年の参議院議員選挙のアンケート結果への反響も参考に、設問の見直しを行いました。

本稿では、見直しの理由・意図を簡単に、記録に残しておきたいと考えています。


前回のアンケート設問

前回の国政選挙での候補者アンケート設問は、下記の通り。

設問(1-a)
実在しない児童(キャラクター)を描写した、性的・暴力等の表現を含むマンガ・アニメ・ゲーム等について、成人が所持・提供・製造すること等を法令で規制するべきと考えますか?

A.法令で規制すべき
B.法令で規制するべきではない
C.どちらともいえない、答えない
設問(1-b)
Q1の選択肢を選んだ理由を100文字以内で回答してください。(任意回答)

設問(2-a)
以下の項目について「表現の自由の観点から問題がある可能性がある」とご自身が考える規制をすべてお選びください(複数選択可)

A.刑法のわいせつ物頒布規制
B.AV新法による規制
C.クレジットカード決済の制約
D.過度なジェンダー平等論や多様性への配慮に基づく表現規制
E.新サイバー犯罪条約による創作物への規制
F.いわゆる「エロ広告」等、不適切とされる広告への法的規制
G.国連女子差別撤廃委員会の勧告による表現規制
H.表現の自由を不当に制限していると思うものは特にない
I.その他(自由記述)
設問(2-b)
Q2の選択肢を選んだ理由を100文字以内で回答してください。(任意回答)

設問(3)
好きなマンガ・アニメ・ゲームがありましたら教えてください(最大3つ、100文字以内)

設問1の見直しについて

設問(1)については、

  • 「規制すべき」という回答が多くなる設問
  • 設問の意図を読み取るのが難しい
    →「法令で」という言葉を読み取らない回答が多い

という指摘がありました。

どちらの選択肢を選んでもその中でさらに認識の幅があるため、私としては当初、選択肢を細かく分割する方向での提案を行いました。

規制への姿勢を、「禁止・ゾーニング強制・自主流通規制・個人的フィルタリング」というグラデーションで把握しようという意図を持ってのことです。

そのほか下記のような議論があり、選択肢ではなく質問文自体を見直す方向に。

  • 設問の構成を根本的に変更したほうが良いのでは
    →今回時間の制約で厳しい
  • 「実在しない児童」という単語が難しい
    →「児童」という単語に引っ張られないよう文言を変更
  • 「何らかの法令」という表現が良いのではないか
    →文字数の都合で断念
  • 「性的・暴力的」の受け取り方が回答者によってぶれる
    →文字数の都合で断念
  • 設問の内容と選択肢が微妙にかみ合っていない
  • 「成人」という単語があり、青少年保護と表現規制が入り混じる設問になってしまっている
    →未成年への規制については設問では聞いていない
  • 「架空の表現を規制させない」という意図をより強く明示する
  • 「製造」という文言を、「製作」でもなく「創作」に変更
  • 「提供」は「発表」でもなく「公開」に変更
  • 「所持」規制は重要な観点なので、そのまま残す

最終的に、今回の設問意図は児童ポルノ禁止法や青少年保護条例の文脈ではなく、あくまで創作物規制なのだと確認し、シンプルな形にまとまりました。

「答えたくない」方への対応として、選択肢Cに「答えない」という言葉を入れています。

「どちらともいえない」方にはできれば自由記述欄に、その理由を記載いただきたいと考えています。

設問2の見直しについて

設問(2)については、

  • 誰が改正派か規制強化派かわからない
  • 逆の回答をしている人がいる

という、大きな問題がありました。

前回までの質問文「問題がある」では、規制をするべきではないと考える候補者と、規制をより強化するべきだという考えの候補者を、2-aへの回答だけでは見分けることができませんでした。

この設問では、表現の自由をより尊重する候補者を見出したい。その目的で、文言を調整しました。

「必要以上に」「過度に」という言葉は、表現の自由を侵害しない規制というものはないという認識から、加えられたものです。

選択肢の議論は、毎回のことながら紛糾しました。

広く「表現の自由」に関連する問題は多く、全てに言及するには前回から「その他」を削ってもまだ、選択肢の数が足りません。

「エンタメ・創作の問題に絞る」「個別の事案には言及しない」という軸でもって、最終的な選択肢は確定させています。

選択肢数・文字数の制約の中での検討のため、いくつかの課題が抜け落ちていると捉えられることは、致し方ありません。

設問3の見直しについて

設問(3)については、

・対象とするエンタメの幅が狭い

・実写映画・演劇・芸術作品もピックアップした方がいい

・多方面のオタクを見つけ出したい

・AFEEはマンガ・アニメ・ゲームの表現の自由を掲げている

といった指摘を受けての調整を行いました。

あくまで弊会としては、「マンガ・アニメ・ゲーム」を中心に回答してもらいたいと考えています。

しかし現に、音楽や演劇のジャンル名での回答もしばしば見られます。それでは、面白くない。

「など」とすることで他ジャンルも許容しつつ、「エンタメ作品」という単語を使うことで「作品名」での回答を導きたいという意図を込めています。

第51回衆院選アンケートの設問決定

以上の議論を経て、今回の設問は下記のとおり決定しました。

設問(1-a)
未成年に見えるキャラクターに対する性的・暴力的な表現があるマンガ・アニメ・ゲームなどの作品の創作・公開・所持について、どのような対応が望ましいと考えますか?

法律で禁止するべき
法律で禁止するべきではない
どちらともいえない、答えない

※無回答の場合は「どちらともいえない、答えない」を選択し、次の理由欄で「無回答」とご記入ください
設問(1-b)
Q1の選択肢を選んだ理由を100文字以内で回答してください。(任意回答)

設問(2-a)
以下の項目のうち、「表現の自由を必要以上に損ねている」または「表現の自由に過度に抵触する可能性がある」と思うものをすべてお選びください(複数選択可)

刑法のわいせつ物頒布等罪による規制
AV新法による規制
クレジットカード決済の制約
ジェンダー平等論や多様性配慮に基づく表現制限
新サイバー犯罪条約による創作物への規制
「不適切」を理由とする広告の法的規制
AI・機械学習に対する法的規制
国旗損壊罪による創作表現規制の懸念
表現の自由を不当に制限していると思うものは特にない

※無回答の場合は「表現の自由を不当に制限していると思うものは特にない」を選択し、次の理由欄で「無回答」とご記入ください
設問(2-b)
Q2の選択肢を選んだ理由、もしくはその他問題があると思われる規制・懸念があれば100文字以内で回答してください。

設問(3)
マンガ・アニメ・ゲームなど好きなエンタメ作品があれば、具体的な作品名を教えてください(最大3つ、100文字以内)

こうしてまとめた設問は選挙ドットコムさんのご協力のもと、全候補者の皆さんに送付し、回答をいただいています。
集まった回答はAFEEの特設サイトで公開しています。

第51回衆議院議員総選挙 候補者向けアンケート結果特設サイト

こちらのサイトのレイアウトなども、前回までのアンケート特設サイト公開時に寄せられた意見を参考に以下のような改善を実施しています。

  • 色覚異常をお持ちの方でも読みやすい色合いへの変更
  • 候補者の回答単位に設問内容を表示するオプションの追加
  • 設問の選択肢単位でのフィルター
  • 特定の候補者のアンケート結果に直接遷移できるリンクの追加
  • アンケート結果のExcelファイルでの公開

終わりに

万人が納得できる内容というものは存在せず、今回の候補者アンケートにも様々なご意見が寄せられることでしょう。全てに対応することもできません。

しかし、あなた自身の意見を反映することは可能です。
AFEEの候補者アンケートは、会員全員に公開の場で議論・決定されています。

最終的な決定責任は役員が負いますが、会員であれば誰でも参加し、決定に関与することが可能です。
動く人の発言力が強いので、もしあなたが改善案を提出したなら、それを軸に議論は進むことでしょう。

エンターテイメントの表現の自由に関心をお持ちの方、ぜひAFEEへの入会、役員会への参加をお待ちしています。

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