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「徳島県ギャンブル等依存症対策推進計画」(素案)についての意見

AFEEでは、徳島県で行われている「徳島県ギャンブル等依存症対策推進計画」(素案)についてのパブコメを提出いたしました。
Discordに寄せられた会員の皆さんの意見をベースに、Discordの公開役員会で議論致しました。

「徳島県ギャンブル等依存症対策推進計画」(素案)に対する意見

エンターテイメント表現の自由の会
代表 坂井崇俊

弊会は「徳島県ギャンブル等依存症対策推進計画」(素案)について意見致します。

P1 厚生労働省ホームページから引用(一部修正)

以下は徳島県保健福祉部健康づくり課への事前のメール回答に基づき、本文章の引用元が厚生労働省のサイト「依存症についてもっと知りたい方へ*」であることを前提で記載する。
* https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000149274.html

引用には少なくとも、引用元の意味を変えずに、引用箇所と自身の見解を分けて書くことが求められる。本計画では「厚生労働省のホームページでは(依存症について)次のように説明しています。」「厚生労働省ホームページから引用(一部修正)」とあるが、上記の2要件を満たしておらず、引用の範囲を超えているため、修正が必要である。

  • 2ブロック目に「本計画」との文言があるが、引用元では「本ページ」とある。厚労省は徳島県の計画を意識せずに作成しており、厚労省の引用の中に徳島県の見解を入れることは適切では無い。
  • 3ブロック目について、引用元では、依存症の診断について、「特に大切なのは(後略)」との記載があるが、本計画では意図的に削除されている。依存症の診断(≒定義)について、明らかに矮小化して意味を変える意図があると感じられ不適切である。
  • 4ブロック目において、引用元では言及の無い「ゲーム、インターネット、スマホ」についての記述を追加している。明らかに引用元と異なることが記載されており、徳島県の見解を引用の中で述べるのは恣意的であり、不適切である。なお、「ネット依存症」はどの国際的な診断基準においても精神疾患と認定されていない。
  • 5ブロック目については、引用元ではあくまでも「誰かが困る」場合について、依存症と同じように対応する必要があると述べているが、本計画では、物質やプロセスへの依存の結果として、「誰かが困る」状態に陥ると断言している。また、③と絡め、不用意に依存症の対象者を増やそうとする意図を感じる。結果として引用元と文意が変わっており、不適切である。

P1 はじめに・・・
※ギャンブル等…法律の定めるところにより行われる公営競技、ぱちんこ屋に係る遊技その他の射幸行為(ギャンブル等依存症対策基本法第2条)
P2 計画の趣旨
ギャンブル等やゲーム、インターネットなどのプロセスへの依存(以下、「ギャンブル等への依存」という。)は、(略)
P3-4 ギャンブル等への依存がもたらす影響(各タイトル抜粋)
①多重債務
②貧困
③家族の崩壊
④自殺
⑤犯罪の誘発
P12 ギャンブル等依存症が疑われる方への相談・支援
(略)多重債務の相談窓口が金銭問題等についてギャンブル等への依存が疑われる方を認知した場合、適切に相談や治療につながるよう相談機関等を紹介することでギャンブル等依存症の治療につなげます。
(※下線は弊会にて追記)

ギャンブル等依存症対策基本法に定義されるギャンブル等のみならず、ゲーム、インターネットなどへの依存を含めて「ギャンブル等への依存」として扱うことは、ギャンブル等依存症に対する問題を矮小化するのみならず、ゲーム、インターネットなどへの依存を必要以上に誇大して取り上げることに繋がるため、反対である。

事実、P3-4で上げられている「ギャンブル等への依存」がもたらす影響には、ゲーム、インターネットなどへの依存によって起こる問題とは、大きくかけ離れたものが含まれていると言わざるを得ない。

またP12では、「ギャンブル等依存症」と「ギャンブル等への依存」がおそらく誤用と思われる形で用いられている。これは、「ギャンブル等」に本計画独自に複数の意味を持たせていることが、誤用の原因の一つとして考えられる。

これらのことにより、行政文書のわかりやすさ、費用対効果に見合った施策の実施の観点から、ギャンブル等依存症対策基本法が定義するギャンブル等とゲーム、インターネットへの依存は分けて、現状・課題・施策を論じるべきである。

P2 計画の趣旨
10代20代の若者を含む多くの人が「インターネットを長く使用していたために、家庭での役割や家事などを疎かにしている」等、ゲームやインターネットの利用を優先するあまり、生活をコントロールできなくなっているとの報告もあります。

若者を含む多くの人が、インターネットによって生活をコントロールできなくなっているという根拠(出典)を記載するべきである。なお、「インターネットを長く使用していたために、家庭での役割や家事などを疎かにしている」ことが、即ち生活をコントロールできなくなっていることに直結しているとするのは、飛躍が大きいため、仮にその場合は表現を改めるべきである。

P3 ギャンブル等への依存がもたらす影響
なお、平成30年に報告された厚生労働省の調査では、インターネット依存が疑われる中高校生が全国で推計93万人に上ることが発表されました。

本件調査は、「飲酒や喫煙等の実態調査と生活習慣病予防のための減酒の効果的な介入方法の開発に関する研究(H29 循環器等 一般 008)[代表者:尾崎米厚 鳥取大学 医学部教授 ]」であると認識している。しかしながら、厚生労働省健康・生活衛生局健康課の見解によると、「本研究の公表については科研班が担当官に相談なく」、「93 万人という数値については、平成30 年8月31 日に研究者の考えで推計値を算出し公表された」としており、あたかも厚生労働省が93万人という数値を公式見解として発表したかのような表現は誤っているため、本文章は修正するべきである。

P10-11 各段階に応じたギャンブル等への依存対策の実施
(略)課金を伴うオンラインゲームの過度の利用が、ギャンブル等への依存につながる危険性のあることについての啓発を行います。

課金を伴うオンラインゲームの過度の利用が、ギャンブル等への依存につながるという科学的な根拠が無い場合、本文章は削除するべきである。なお、一般論として、相関関係と因果関係は異なるものであり、相関関係のみで因果関係を示せるもので無いことも付言しておく。

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