AFEEでは鳥取県議会の2月議会開会に先駆け、鳥取県議会議員に対して以下の意見書を提出致しましたので報告致します。
鳥取県青少年健全育成条例の改正案についての意見書
2025年2月12日
エンターテイメント表現の自由の会 代表 坂井崇俊
同女性支部 代表 岩永千絵美
突然のお便り失礼いたします。日頃より、鳥取県の発展と住民の福祉向上に尽力されていることに深く感謝申し上げます。私たちエンターテイメント表現の自由の会はマンガ・アニメ・ゲーム等の表現の自由を求める活動をしている団体です。本日は2月議会に上程予定の青少年健全育成条例の改正案について、下記意見を申し上げたくご連絡した次第です。
記
- 実在する児童の顔写真を用いた性的画像の拡散等により、児童本人が傷つくことはあってはならない
- しかしながら、不適切な規制は創作活動の萎縮を生むことから慎重な検討を行う必要がある
以上
■条例の概況
- 鳥取県青少年健全育成条例の改正案が令和7年2月定例会にて上程予定
- 鳥取県独自の「児童ポルノ」の定義を明確化し、創作活動に一定の制限をかける内容
- パブコメを実施済。条例案の審議を行う福祉生活病院常任委員会にて報告予定
- 条例案自体については2/12時点では非公開
( https://www.pref.tottori.lg.jp/321186.htm#2 1/30知事定例記者会見資料)
■弊会が危惧している点(条例案が未公開のため知事発言等からの想定を含む)
- 実在しない児童(AIが生成した児童の顔等)を加工して作成された性的画像の作成・提供が規制の対象となっているか(論点①)
- 実在する鳥取県の児童の顔画像を加工して作成された性的画像の作成が規制の対象となっているか(論点②)
- 実在する鳥取県の児童の顔画像を加工して作成された性的画像の提供が規制の対象となっているか(論点③)
■前提:児童ポルノの定義
- 児童ポルノ禁止法が定める児童ポルノの要件である「児童の姿態」の定義(判決要旨*)
- 実在性(被写体が実在の人物であることが立証できること)
- 児童性(被写体が18歳未満であることが立証できること)
- 同一性(被写体と画像の胴体や四肢の形・輪郭線・各部位の位置等の一致が立証できること 注:実在人物の写真をもとに新たに性的画像を作成した場合)
* 平成28年(う)第872号 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件 平成29年1月24日 東京高等裁判所第10刑事部判決
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/027/087027_hanrei.pdf
■論点①
- 実在が立証できない児童についての性的画像の作成・提供によって生じる児童性虐待・児童性搾取は存在しないことから規制の対象とするべきではない
■論点②
- 提供を伴わない作成については、実在する人物に対して直接的な被害を及ぼさないことから、禁止や罰則の対象に含めることは極めて慎重に行うべきである
- 特に、児童が自分自身の顔写真を用いた性的画像の作成についてまで禁止や罰則の対象に含めることは行うべきではない
- AI等により実在する児童の顔画像を加工して作成された性的画像は、児童ポルノの定義と異なることから、児童ポルノと同列に扱うことはふさわしくない
■論点③
- 当該行為による被害者については成人・未成年を問わないと考えられることから、規制の手段として青少年健全育成条例を用いるべきではない
- 当該行為は、現行刑法の侮辱罪や名誉棄損罪にて十分処罰可能な行為であり、明示的に青少年健全育成条例にて禁止・処罰の対象とすることに意義を感じづらい
- AI等により実在する児童の顔画像を加工して作成された性的画像は、児童ポルノの定義と異なることから、条例で児童ポルノと同列に扱うことはふさわしくない