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路上の表現、パリ五輪へ 「共感」がカギ(前・品川区議会議員 筒井ようすけ)

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路上の表現、パリ五輪へ 「共感」がカギ

前・品川区議会議員 筒井ようすけ

エンタメ表現の自由について、今回、ヒップホップを題材にして述べていきたい。ヒップホップといえば、私自身も学生時代に踊っていたことがあり、二〇二四年パリ五輪(オリンピック)の新競技ともなったブレイクダンスが話題である。まさか五輪競技になるとは、当時の私は思っていなかったが、まさにヒップホップという表現の自由のエネルギーの拡大を感じるところである。
ヒップホップについて、詳しくは他の専門家の方々の著述にお譲りするが、おおまかに説明すると、DJ、MC(ラップ)、グラフティ、ブレイクダンスの「四大要素」で構成されている「文化」である。単なる音楽やダンスのジャンルではない。その見方は、あくまでもそれぞれの四つの要素から切り取った結果を捉えた概念である。
そして、この四大要素を持ったヒップホップはまさに表現の自由の塊である。以下、順に簡単に説明するが、DJは、ターンテーブルで曲と曲をつないだり、ビートを作り、スクラッチをするものである。MCとは、ラップである。ラップバトル番組「フリースタイルダンジョン」や公共広告のACジャパンのCMなどでもテレビに流れ、お茶の間でもすっかり一般的になった。時にかなりハードな歌詞内容も許容される。グラフティは、建物の壁などに描かれる絵や文字である。丸みをもったものが多い。描き手として「バンクシー」があまりにも有名である。そして、ブレイクダンスは、先述のDJがかけるビートなどで踊り、頭で回転したり、体操選手のような大技を繰り出すのが特徴である。このブレイクダンスから、時代を経て、現在、単にヒップホップと言われる一般的なダンスジャンルとして進化していった。
これらは、ストリート、路上で行われてきたものであり、路上で発展してきた。ヒップホップはまさに路上の表現である。そして、その路上の表現の自由は、時に他者との権利とぶつかりながらも、配慮や尊重を行い、結果として、その表現の自由さから、全てではないが権利侵害される他者も含め、多くの人からの支持と「共感」を受け、文化として発展してきた。そして、ついには、その一つの要素であるブレイクダンスが世界の華の舞台と言える五輪の新競技ともなったのである。
だが、先述の通り、他者の権利とのぶつかり合いが問題となる。DJが流す曲やラップに乗せる曲が、既存の他の音楽家が作った物を使用することが多いので、他者の著作権や原盤権などと衝突する。グラフティは、他者所有の壁に描いた場合、財産権を侵害する落書きとなってしまう。ダンスも踊る場所が公共の場所であっても、態様により他者の本来目的の使用権を侵害することになる。
こうしたことから、ヒップホップを公権力が潰そうと思えば潰せたかもしれない。しかし、そうはならなかったのは、他者への配慮や尊重を行ったうえで醸成された「共感」が守ったのではないかと思う。他のアート、エンタメなどの表現行為も、自らの一方的な主張だけではなく、他者への配慮、尊重を忘れず、「共感」を得ることによって持続的に発展していくのではないかと考える。

筒井ようすけ(つついようすけ)

前・品川区議。都民ファーストの会所属。
来年四月の品川区議選に向け再起動中。
「品川の成長と改革」をテーマに納税者たる区民ファーストの区政を目指す。
趣味はヒップホップと海。現在、ビートメイキングの修行中。

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