この3日、横浜美術館内にある美術情報センターで行われている「焚書資料展」を観に行くミニオフ、を開催させていただきました。
内容は小規模な展覧会ながら宗教改革の時代にルターが教会法と教皇勅書を焼き捨てた銅版画など近世の「規制権威に対抗する」焚書を皮切りに、ナチス・ドイツによる焚書の光景、同じく退廃芸術展、終戦直後の日本の「墨塗り」教科書(連合軍GHQの指令によると長いあいだ聞かされていましたが、実は定説に反してGHQの意向を日本側で勝手に忖度して行った可能性も高いそうです。これは初めて知りました)、そして昭和30年に手塚治虫の漫画を含めて「エログロ雑誌を追放する」悪書追放運動を報じるグラフ雑誌…と盛りだくさんでした。また関係図書には、先日の愛知県美術館の全裸写真に対する下半分を布で覆った件を取り上げた記事を掲載した雑誌なども取り上げられていました。
今回の「焚書資料展」はいわゆる左右、当時の保守・進歩両派を問わず、都合の悪い文書図画を燃やし、裁断し、傷つけてきた悲しい歴史を小さいながらも図書館や学芸の立場からよくまとめていた良質な展示でした。未見の方は11月30日まで開催していますので、ぜひ一見されることをお勧めします。(にしかたコーイチ)