AFEEでは、こども家庭庁で行われている「青少年インターネット環境の整備等に関する検討会報告書(案)」に対する意見募集に応募いたしました。
Discordに寄せられた会員の皆さんの意見をベースに、Discordの公開役員会で議論致しました。
青少年インターネット環境の整備等に関する検討会報告書(案)に対する意見
弊会は「自治体こども計画策定のためのガイドライン(案)」について意見致します。
全体(パブコメの募集形式について)
本報告書(案)に係る今回のパブリックコメント募集の方法は、こどもを含めた国民から広く意見を集めるための要件が備わっていないように思われる。本計画書(案)のパブコメは、任意の意見募集であることから、e-govに掲載すること、意見提出期間として、30 日以上の日数が確保することは必要ではないと認識しているが、国民から広く意見を募集する態度としては評価出来ない。今後、策定される「青少年インターネット環境整備基本計画(第6次)」のパブコメについても十分に配慮して行われることを期待する。
P2 脚注※1 有害情報の定義について
有害情報の定義について本報告書(案)では、有害情報の定義について「青少年インターネット環境整備法第2条にて定められているものと同一であると理解している。
ただ、十分な説明のないままに有害情報という言葉を用いることで、青少年でない成人に対しても有害であるとの誤った認識を与えかねない。よって、本計画書(案)では、「青少年インターネット環境整備基本計画(第6次)」に基づいて作成された成果物(外郭団体や補助金等を用いて作成されたものに限る)について、幅広い国民の議論を経ずに、成人に対する情報提供の制限等の目的で用いないよう記載するべきである。
● P11 (3) 青少年のインターネット利用時間の長時間化の進展
このようなインターネット利用時間の長時間化は、青少年の健全な成長に支障を及ぼすおそれが懸念されることから、この傾向を踏まえた対策を講じる必要がある。
インターネットの利用時間の長時間化が一律に悪影響を及ぼすとはいえず、インターネットの学習への活用等その内容にも着目した対応が必要であると考えられる。
本報告書(案)において、異なる主張が展開されており、両論併記の体裁を取るか、P11の「青少年の健全な成長に支障を及ぼすおそれ」の箇所を削除するべきである。なお、両論を併記する場合は、青少年の成長に支障を及ぼす科学的なエビデンスと共に提示するべきである。
P25 3 施策実施において踏まえるべき考え方
フィルタリング・サービスを提供する事業者は、青少年の権利及び、情報発信者の表現の自由を侵害する可能性があることから、アクセスを制限する基準について、ユーザー及び発信者、社会に対してその基準を明示し、必要に応じて権利を侵害する者等からの質問等を受け付け、回答をする必要がある。よって、「3 施策実施において踏まえるべき考え方」に「⑦ 透明性の確保」を設け、その旨を記載すべきである。
P26 ⑥ 有害性の判断への行政の不干渉
> いかなる情報が青少年有害情報であるかは、民間が判断すべきであって、その判断に国の行政機関等は干渉してはならない。
青少年に対するフィルタリングの対象とすべき情報の内容について行政が干渉することは、広義の意味で検閲にあたるため反対である。
しかしながら、児童の権利に関する条約第13条では、表現の自由及び知る権利が保障されており、その理念はこども基本法第3条でも「全てのこどもについて、個人として尊重され、その基本的人権が保障される」と謳われている。従って、行政として、フィルタリングの対象となる情報の内容がこどもの知る権利を必要以上に制限していないことを制度上担保するべきである旨記載するべきである。
特に懸念される点としては、「青少年有害情報」は、青少年インターネット環境整備法第2条第3項で「青少年の健全な成長を著しく阻害するもの」と定義されているところ、第4項各号で例示された3つ以外に、民間事業者が「健全な成長」について拡大解釈を行い、青少年有害情報の対象を広げることで、ほぼ強制的に青少年の「知る権利」が侵される点である。本取組が通常の民間の取組と異なるところは、上記のような事態となれば、結果として法律・行政施策により青少年の権利が制限される点にあるため、特段の配慮が必要である。