AFEEでは、山梨県で行われている「やまなしこども基本条例(素案)」についての意見を提出致しました。Discordに寄せられた会員の皆さんの意見をベースに、Discordの公開役員会で議論致しました。
「やまなしこども基本条例(素案)」への意見
エンターテイメント表現の自由の会 代表 坂井崇俊
弊会は「やまなしこども基本条例(素案)」について意見致します。
p.5 第二節 こども支援(こどもの育ちへの支援)
3 県は、全てのこどもの健全な成長に資するため、薬物、アルコール、賭博その他の射幸行為、ゲーム、インターネット等に係る依存症(第十六条第一項において「依存症」といいます。)の予防に必要な施策を推進するものとします。
≪意見要旨≫
本条文は、ゲーム及びインターネットを薬物や賭博等と並列して依存症の対象として列挙し、その予防施策を推進するとしているが、ゲーム依存等については治療・予防に関する確立した科学的根拠が政府答弁においても示されていない。科学的知見が未確立の分野を他の依存症と同列に扱うことは慎重であるべきであり、こどもの孤立やいじめ等の背景要因への支援を重視する観点から、記載の見直しまたは削除を求めるものである。
≪意見詳細≫
本条文は、薬物、アルコール、賭博その他の射幸行為と並び、ゲーム及びインターネットを依存症の対象として列挙し、その予防に必要な施策を推進するとしている。しかし、ゲーム依存、ネット依存については、令和3年3月16日の第204回国会参議院内閣委員会において、厚生労働省の政府参考人が、発症メカニズムに関する確立した科学的知見や、治療・予防に関する確立した科学的根拠は承知していない旨を答弁している。
このように知見が未確立の分野について、薬物や賭博等と同列に「予防」の対象として位置付けることは、科学的裏付けを欠いたまま特定の媒体を過度に問題視することにつながりかねない。ゲームやインターネットは、娯楽にとどまらず、学習、創作、コミュニケーションの基盤でもあり、これらを一律に危険視するような記述は、文化的活動や表現活動に対する社会的偏見を助長し、表現の自由に対する萎縮効果を生じさせるおそれがある。
また、こどもがゲームやインターネットに長時間没入する背景には、いじめ、人間関係の困難、家庭環境、孤立等により居場所を失っている事情が存在する場合がある。したがって、県が重視すべきは媒体そのものの抑制ではなく、相談体制の整備、居場所づくり、孤立防止等の背景要因への支援である。以上から、本条文は、科学的知見が確立した依存症対策と研究途上の分野とを明確に区別しつつ、こどもの置かれた環境への支援を中心に据えた記述へ改めるか、削除するべきである。
