AFEEでは、東京都議会各会派(ひとり会派含む)に対して、青少年健全育成条例関係の意見書を提出しました。一部、直接の手交ができていない会派もありますが、6月議会の開会までには各会派に対して要望を手交する予定です。
要望書
代表 坂井崇俊
弊会は「東京都青少年の健全な育成に関する条例」について、下記の通り「不健全」の文言の変更も含めた条例改正に向けた会派間の議論を加速することを要望する
不健全図書指定制度は昭和39年から約60年続く制度である。この間、日本社会は大きく変容し、青少年健全育成に対する考え方も大きく変わった。さらに、平成2年には「児童の権利に関する条約」が発効され、子どもを権利の主体とする立場も定着している。東京都においても令和3年に制定された「東京都こども基本条例 」においても同様の考えが示されている。
しかしながら、不健全図書指定制度について根本から見直されることはなく、また、その効果自体も検証されていない 。さらに審議会に子どもの直接の代弁者はおらず、その審議会で不健全指定された図書は昨年度で6冊のみ(うち、当初主に想定されていたと思われる男性向けは1冊)とピーク時の4%以下に留まっている。このことからも、この制度が現代の要請に応えるものであるか疑問が残る。それと同時に、我々一般消費者に対し不利益となる事象も明らかになってきた。弊会としては、この機会に「不健全」の呼称を含め現代の青少年健全育成に真に沿った条例に改めるべきと考えている。
具体的課題として、制度の趣旨と乖離している「不健全図書」という名称が、当該図書の存在自体が条例違反であると都民に誤解を与えていることで、条例の規制対象ではない漫画家が批判の矢面に立たされている。また、不健全図書指定されると、大手のネットショップで指定された図書の取り扱いが終了し、18歳以上の成人の消費者の購入の機会が奪われるなど表現の自由に対する懸念も明らかになっている。
以上のことから「東京都青少年の健全な育成に関する条例」について、「不健全」の文言を含めた条例の改正に向けた会派間の議論の加速を要望するものである。
脚註
1) 東京都こども基本条例
(こどもの意見表明と施策への反映)
第十条 都は、こどもを権利の主体として尊重し、こどもが社会の一員として意見を表明することができ、かつ、その意見が施策に適切に反映されるよう、環境の整備を図るものとする。
2)「不健全図書の指定による青少年の環境の整備により、青少年の健全な育成が図られたという客観的な事実がわかる資料一式」について「作成および取得しておらず存在しない」(令和3年8月「非開示決定通知書(3都安総都第178号:東京都知事)」);別紙ご参照