児童買春・児童ポルノ禁止法案改正案の成立にあたっての声明
6月18日、児童買春・児童ポルノ禁止法案の改正案が参議院本会議にて可決・成立しました。私たち AFEE エンターテイメント表現の自由の会として、まずは今回の法改正案が積み残した問題を明らかにすべく活動していただいた衆参両院議員の皆様に深く御礼申し上げるものです。
今回の法案の成立にあたっては「マンガ・アニメ」への規制に向けた附則が落ちるなど不完全ながらよい点もあったものの、やはり特に次の2点を遺憾とするものです。
1)インターポールからの警告などが存在するにもかかわらず児童・子どもへの性的虐待防止の法に徹しておらず、いわゆる「児童性的虐待製造物/記録物」(CAMまたはCAI)規制の法、個人法益擁護の法として以外の要素がなお残る点。この点は特に参議院法務委員会での審議を通じて浮き彫りになりました。
2)われわれを含め「単純所持」規制には慎重な立場を採っている団体があるにもかかわらず、「性的好奇心目的」などの制約がついたとはいえ、制度としていわゆる京都府・栃木県条例方式の「事前廃棄命令」のような明瞭な冤罪防止措置を取り入れなかった点。
こうした残された問題点については、今後とも更なる法改正、究極的には法の改廃・新法制定になりますが児童買春・児童ポルノ禁止法を刑法の特別法でなく児童福祉法の特別法(厚生労働省の所管)として位置づけなおし、既存の「児童虐待防止法」との統合してくことなどを引き続き、求めていきます。また同時に、今回の法改正案が積み残した問題を明らかにすべく活動していただいた衆参両院議員の皆様に、深く御礼申し上げるものです。
加えてこの11日「子ども・若者育成支援推進法」の改正案が参議院に提出され「青少年健全育成基本法」に衣替えされることが明らかになりました。若者のニート支援などの福祉目的の法律を、全国の青少年条例の根拠法となる法案に置き換えるとは、換骨奪胎も甚だしいところです。またこの法案にはマンガ・アニメを名指しにこそしていませんが児童ポルノ禁止法の附則から抜け落ちた「表現物の規制検討」に類似する条文など「表現の自由」規制の恐れがある条文(第22条)も盛り込まれています。今後は秋の臨時国会に向けて焦点となるであろうこの法案に注目し、引き続きアクションを行っていきます。
いずれにせよ、私達が問題にしていた点は今なお解決されておらず、新たな立法も準備されており、むしろ問題が山積していることが明らかになりました。今後とも AFEE はこうした問題について継続して取り組んでまいりますので、引き続き皆さんにはAFEEへの参加およびご支援、ならびにご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。
2014年6月20日
AFEE エンターテイメント表現の自由の会