プロバイダー規制
児童買春・児童ポルノ法改正案にはネット事業者に児童ポルノに該当する情報を規制する条項もあります。
児童買春・児童ポルノ法改正案要綱から抜粋
第三 インターネットの利用に係る事業者の努力
インターネットを利用した不特定の者に対する情報の発信又はその閲覧等のために必要な電気通信役務を提供する事業者は、児童ポルノの所持、提供等の行為による被害がインターネットを通じて容易に拡大し、これにより一旦国内外に児童ポルノが拡散した場合においてはその廃棄、削除等による児童の権利回復は著しく困難になることに鑑み、捜査機関への協力、その管理権限に基づき児童ポルノに係る情報の送信を防止する措置その他インターネットを利用したこれらの行為の防止に資するための措置を講ずるよう努めるものとすること。(第十四条の二関係)
自宅からインターネットにアクセスするために、私たち一般ユーザはプロバイダー(IIJ、OCN、So-netなど)と契約しています。
自宅からプロバイダーへ光ファイバーやADSLを通して接続し、さらにプロバイダーからインターネットへ接続するという仕組みです。
インターネットと自宅の間で交わされる情報は必ずプロバイダーを経由しています。
上記要項にあるように、インターネットに一度流出した画像はコピーが容易です。
あちこちに行き渡った画像をすべて削除することは困難です。それでは、何も対策はないのでしょうか。そんなことはありません。
自宅とインターネットとの間の情報のハブとなるプロバイダーで情報を遮断することが出来れば、あたかも一般ユーザーには画像が存在しないように見せかけることができます。これをブロッキングといいます。
児童ポルノのブロッキングは既にインターネットコンテンツセーフティ協会の会員であるプロバイダーで実施されています。(インターネットコンテンツセーフティ協会. "児童ポルノ画像が掲載されたサイトのブロッキングなどの流通防止の取り組みを開始)
これは自分を撮った画像をインターネットからなくして欲しいと願う被害者にとっては朗報です。
しかし、何を遮断するかを決めるプロバイダーの方針によっては、法で禁止されていない画像も一般ユーザーが見れなくなってしまう虞れがあります。この広範すぎる過剰な規制を「オーバーブロッキング」といいます。
ブロッキングのやり方
DNSポイズニング方式
インターネットコンテンツセーフティ協会が現在行っている方法です。
ドメイン名(例えばfc2.comやtwitter.com)を見て、ブラックリストに登録されたドメイン名であれば「404 not found」(そんなホームページは存在しません)を返します。
この方式だとtwitter.comを遮断した場合はtwitterを使っている人全員が巻き添えを受けることになります。
一方で、ドメイン名だけを見て判断しているため通信の秘密を犯す度合いは低いという利点があります。
プロキシ方式
DNSポイズニング方式はドメイン名だけを見て判断しますが、プロキシ方式はURLを見て判断します(例えばhttps://twitter.com/afeejp)。
DNSポイズニング方式ではtwitter全体を遮断することしかできませんが、プロキシ方式では特定のユーザーのみ遮断することができません。
一方で、URLを見て判断するため通信の秘密を犯す度合いも高いという問題があります。また、プロバイダによっては、追加の設備を購入する必要があるかもしれません。
過剰な自主規制
今回に提出される予定の改正案ではマンガやアニメを児童買春・児童ポルノ禁止法で禁止する対象とするか否かの研究を行うとされています。
改正案が通った場合、実際に禁止対象になるか否かの最終的な結論が出る前に18歳未満の青少年に見えるキャラクターの性描写があるマンガ・アニメを見せないようにしようという動きが出ることが危惧されています。
一例として、2012年6月にはDMM.comが「児童を連想させる画像、文言」を検索ワードとして使えなくする対応を行っています。あくまで検索できないようにする仕組みにすぎませんが、皆さんはGoogleに表示されないホームページに足を運ぶことがありますか?
フィルタリング
法で禁止されていない情報を一般ユーザーに見れなくなる仕組みの一つがフィルタリングです。
フィルタリングとは、主に未成年がインターネットにある有害とされる情報を見れないようにするように、プロバイダーが情報を遮断することです。
違法情報・薬物など好ましくないものだけが遮断できればいいのですが、政治問題を取り扱うサイトが引っ掛ることがあります。