内閣府では、「第5次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)に対する意見募集」を行っています。AFEEでは本件意見募集に応じることと致しました。
ついては、会員の皆さまに役員会案を以下に提示しますので短納期で恐縮ですが9月6日日曜日正午までに、皆さんの意見をコメント欄から記載頂ければと思います。頂いた意見を役員会で検討の上、最終的なパブリックコメントとして提出したいと考えていますので、ご協力よろしくお願い致します
「第5次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)」に対する意見
男女共同参画社会の実現については、当然目指すべき方向であり、理念には強く賛同する。しかしながら、「男女共同参画」という理念に対しては、さらに上位におかれなくてはならない理念(一例として平和、平等、基本的人権など)が存在し、それらと調和し、他の権利と競合する場合においては、合理的かつ平等な解決をうながすものでなくてはならない。あいまいな箇所や歪曲して解釈される余地が存在することで、一方的に「男女共同参画社会の実現」のみが重視されるような状態であってはならない。
第1部 基本的な方針
2 社会情勢の現状及び課題
(5) 国内外で高まる女性に対する暴力根絶への問題意識 (p6)
〇 世界的にも SNS を中心にセクシュアルハラスメントや性暴力などの性被害の経験を告発する「#MeToo」運動が話題を呼ぶなど、女性に対する暴力に関する問題の根深さが改めて浮き彫りになるのと併せ、これらの問題の根絶を求める声も広がりを見せている。
「#MeToo」運動は負の側面として、男女間の接触を過度に萎縮させたり、性被害者の証言を無根拠に正とすると言った指摘もあり、政府はその負の側面とは一線を画すということを明示するべきである。
3 5次計画策定における基本的な視点と取り組むべき事項等 (p9)
支援を必要とする女性等が誰一人取り残されることのないことを目指す
本項では、「男女共同参画を推進していくことは、一人一人が個性と能力を十分に発揮できる、持続可能な活力ある社会にとって不可欠の前提である」と述べ、男女共同参画が社会のすべての個人の幸福に寄与することを示している。その点を踏まえ、「支援を必要とするすべての人が誰一人取り残されることのないことを目指す」と言い換えるべきである。
また、新型コロナウイルスによる感染症の拡大は、平時の固定的な性別役割分担意識を反映したジェンダーに起因する諸課題を一層顕在化させている。
一般論として認知されていない論にも関わらず、記載内容が断定的であるため、その論を補強する事実を記載するべきである。
(5)基本的な視点及び取り組むべき事項 (p10)
女性に対する暴力をめぐる状況の多様化に対応しつつ、女性に対するあらゆる暴力の根絶に向けて取組を強化する必要
一般論として刑法等で処罰されるべき暴力以外の暴力と呼ばれるものの中には、他の人権との調整が図られるべきものも存在し、「根絶」という強い表現を用いるのであれば、「あらゆる暴力」ではなく限定的な表現とするべきである。
多様な困難を抱える女性等に対するきめ細かな支援を行うことにより、女性が安心して暮らせるための環境整備を進める必要
「女性が安心して暮らせるための環境」の定義として、他者の権利を一方的に制限する場合なども念頭に置き、広範に認められるべきものでないことを明示するべきである。
第2分野 雇用等における男女共同参画の推進と仕事と生活の調和
【基本認識】 (P24)
新型コロナウイルス感染症が流行するような非常時には、女性がより職を失いやすくなる懸念があり、
現在進行形の「懸念」であり、長期的な計画である基本計画の方針への記載は不適切である。
第4分野 科学技術・学術における男女共同参画の推進
【基本認識】 (P38)
男性の視点で行われてきた研究や開発プロセスを経た研究成果は、女性には必ずしも当てはまらず、社会に悪影響を及ぼす場合もある
学術研究の結果はそれぞれ個別に評価・考察されるべきであり、「男性研究者による研究『であるから』成果が女性に当てはまらない場合もある」という考察はジェンダーバイアスを内包しており、当該ジェンダーバイアスを公文書に記載することは不適切である。
2 男女共同参画と性差の視点を踏まえた研究の促進 (P38)
これまでの男性の視点で行われてきた研究・開発プロセス
女性の視点を取り入れた研究プロジェクト
生物学的ないし社会的性別に対し一律に結びついていて相互に異なる「男性の視点」や「女性の視点」というものが「存在する」とする前提そのものにジェンダーバイアスが存在している。当該ジェンダーバイアスを公文書に記載することは不適切である。
第5分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶
3 子供、若年層に対する性的な暴力の根絶に向けた対策の推進 (P47)
〇 いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・「JKビジネス」問題等をはじめ、子供、若年層に対する性暴力被害の予防等のための、被害防止啓発、国民意識の向上に向けた取組を強化する。
「JKビジネス」には定義により成人が女子高校生の制服等を着てサービス提供を行うものも含まれることもあり、ここでの「JKビジネス」は女子高校生または18歳未満の者によるものであると定義を明確化するべきである。
8 インターネット上の女性に対する暴力等への対応 (P47)
〇 インターネット上のメディアを含む、メディアにおける不適切な性・暴力表現を防止するため、関係機関等と連携した広報啓発の推進等の適切な対応を行う
不適切な性・暴力表現の指す範囲が広範であり、また、実在しない人物に対する表現等も含まれる懸念もあり、その点を払拭すべく範囲を限定するべきである。また、この章全体を通して「表現の自由」への最大限の配慮の項目が欠けており、追加するべきである。
③ インターネット上の児童ポルノ画像や盗撮画像等の流通防止対策を推進する。また、インターネット・サービス・プロバイダによるブロッキング等の自主的な取組を引き続き支援し、児童ポルノ画像の閲覧防止対策を推進する。
盗撮画像等の表現があるが、例えば、公益目的での音声と顔のみを密かに撮影した動画などもこの中に含まれる可能性もあり、法的根拠に基づいた施策となるように定義を明確化し、範囲を限定するべきである。
第10分野 教育・メディア等を通じた男女双方の意識改革、理解の促進
4 メディア分野等と連携した積極的な情報発信 (P83)
〇 新聞・テレビ・映画・ゲーム・インターネットメディア・広告等の多様なメディアやクリエイティブな分野と連携し、男女共同参画に資する広告やコンテンツ等について積極的に情報発信を行うとともに、女性の人権を尊重した表現の推進をはじめ男女共同参画に関する各業界における自主的な取組を促進する。
「女性の人権を尊重した表現の推進」が指すところの具体的意味が明らかで無いため、その点を明らかにして記載するべきである。同時に、「女性の人権を尊重しない表現」について規制するべきというニュアンスと捉えられないような補足文言が必要である。
また、「ジェンダーステレオタイプを助長する広告」という概念があるが、あくまでもこれらの規制については、民間に委ねるべきであり、政府による関与を行わない旨記載するべきである。
【会員限定】第5次男⼥共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え⽅についてのパブコメ
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内閣府では、「第5次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)に対する意見募集」を行っています。AFEEでは本件意見募集に応じることと致しました。
ついては、会員の皆さまに役員会案を以下に提示しますので短納期で恐縮ですが9月6日日曜日正午までに、皆さんの意見をコメント欄から記載頂ければと思います。頂いた意見を役員会で検討の上、最終的なパブリックコメントとして提出したいと考えていますので、ご協力よろしくお願い致します
「第5次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)」に対する意見
男女共同参画社会の実現については、当然目指すべき方向であり、理念には強く賛同する。しかしながら、「男女共同参画」という理念に対しては、さらに上位におかれなくてはならない理念(一例として平和、平等、基本的人権など)が存在し、それらと調和し、他の権利と競合する場合においては、合理的かつ平等な解決をうながすものでなくてはならない。あいまいな箇所や歪曲して解釈される余地が存在することで、一方的に「男女共同参画社会の実現」のみが重視されるような状態であってはならない。
第1部 基本的な方針
2 社会情勢の現状及び課題
(5) 国内外で高まる女性に対する暴力根絶への問題意識 (p6)
「#MeToo」運動は負の側面として、男女間の接触を過度に萎縮させたり、性被害者の証言を無根拠に正とすると言った指摘もあり、政府はその負の側面とは一線を画すということを明示するべきである。
3 5次計画策定における基本的な視点と取り組むべき事項等 (p9)
本項では、「男女共同参画を推進していくことは、一人一人が個性と能力を十分に発揮できる、持続可能な活力ある社会にとって不可欠の前提である」と述べ、男女共同参画が社会のすべての個人の幸福に寄与することを示している。その点を踏まえ、「支援を必要とするすべての人が誰一人取り残されることのないことを目指す」と言い換えるべきである。
一般論として認知されていない論にも関わらず、記載内容が断定的であるため、その論を補強する事実を記載するべきである。
(5)基本的な視点及び取り組むべき事項 (p10)
一般論として刑法等で処罰されるべき暴力以外の暴力と呼ばれるものの中には、他の人権との調整が図られるべきものも存在し、「根絶」という強い表現を用いるのであれば、「あらゆる暴力」ではなく限定的な表現とするべきである。
「女性が安心して暮らせるための環境」の定義として、他者の権利を一方的に制限する場合なども念頭に置き、広範に認められるべきものでないことを明示するべきである。
第2分野 雇用等における男女共同参画の推進と仕事と生活の調和
【基本認識】 (P24)
現在進行形の「懸念」であり、長期的な計画である基本計画の方針への記載は不適切である。
第4分野 科学技術・学術における男女共同参画の推進
【基本認識】 (P38)
学術研究の結果はそれぞれ個別に評価・考察されるべきであり、「男性研究者による研究『であるから』成果が女性に当てはまらない場合もある」という考察はジェンダーバイアスを内包しており、当該ジェンダーバイアスを公文書に記載することは不適切である。
2 男女共同参画と性差の視点を踏まえた研究の促進 (P38)
生物学的ないし社会的性別に対し一律に結びついていて相互に異なる「男性の視点」や「女性の視点」というものが「存在する」とする前提そのものにジェンダーバイアスが存在している。当該ジェンダーバイアスを公文書に記載することは不適切である。
第5分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶
3 子供、若年層に対する性的な暴力の根絶に向けた対策の推進 (P47)
「JKビジネス」には定義により成人が女子高校生の制服等を着てサービス提供を行うものも含まれることもあり、ここでの「JKビジネス」は女子高校生または18歳未満の者によるものであると定義を明確化するべきである。
8 インターネット上の女性に対する暴力等への対応 (P47)
不適切な性・暴力表現の指す範囲が広範であり、また、実在しない人物に対する表現等も含まれる懸念もあり、その点を払拭すべく範囲を限定するべきである。また、この章全体を通して「表現の自由」への最大限の配慮の項目が欠けており、追加するべきである。
盗撮画像等の表現があるが、例えば、公益目的での音声と顔のみを密かに撮影した動画などもこの中に含まれる可能性もあり、法的根拠に基づいた施策となるように定義を明確化し、範囲を限定するべきである。
第10分野 教育・メディア等を通じた男女双方の意識改革、理解の促進
4 メディア分野等と連携した積極的な情報発信 (P83)
「女性の人権を尊重した表現の推進」が指すところの具体的意味が明らかで無いため、その点を明らかにして記載するべきである。同時に、「女性の人権を尊重しない表現」について規制するべきというニュアンスと捉えられないような補足文言が必要である。
また、「ジェンダーステレオタイプを助長する広告」という概念があるが、あくまでもこれらの規制については、民間に委ねるべきであり、政府による関与を行わない旨記載するべきである。