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AFEE エンターテイメント表現の自由の会

「埼玉県男女共同参画基本計画(案)」への意見

AFEEでは、埼玉県が意見募集を実施している「埼玉県男女共同参画基本計画(令和9年度~令和13年度)(案)」についての意見を提出致しました。Discordに寄せられた会員の皆さんの意見をベースに、Discordの公開役員会で議論致しました。

「埼玉県男女共同参画基本計画(案)」への意見

エンターテイメント表現の自由の会
埼玉支部

本計画案では、メディアにおける表現の「排除」に向けた社会的気運の醸成、性・暴力表現に関する施策、青少年健全育成条例に基づく規制・指導、メディア・リテラシー教育などが掲げられています。男女共同参画の推進や被害者保護の重要性を踏まえつつ、適法な創作表現への影響や県民の主体的な判断の尊重について、以下のとおり意見を述べます。

82ページ「基本目標Ⅳ-1 現状と課題」
「固定的性別役割分担意識や女性に対する暴力を助長又は連想させるような表現に十分留意するよう、県が率先して取組を進めるとともに、メディアにおける自主的な取組を促進する必要があり」
87ページ「施策の基本的な方向(4)」
「固定的性別役割分担意識や女性に対する暴力を助長したり連想させたりするような表現については、十分留意することが求められます。これらを助長又は連想させるような表現の排除に向けた社会的気運の醸成を図るため、広報・啓発や学習機会の充実を図ります。」

≪意見要旨≫
「固定的性別役割分担意識や女性に対する暴力を助長又は連想させるような表現」の「排除に向けた社会的気運の醸成」を図るとの記載は、対象が不明確なまま適法な創作・報道等の表現を排除する方向へ行政が働きかけるものと受け取られるおそれがある。男女の人権尊重に関する啓発は維持しつつ、「表現の排除」を行政施策の目的とする文言を削除し、メディアの自主性と表現の自由を十分尊重することを明記すべきである。

≪意見詳細≫

男女共同参画の推進や、女性に対する暴力の防止について異論はない。また、県自身が広報活動において人権を尊重すること、メディア関係者が自発的に研修等に取り組むことも重要である。

しかし、本計画案は「助長」のみならず「連想させる」表現まで対象とし、その「排除」に向けた社会的気運を行政が醸成するとしている。「連想させる」か否かは受け手の解釈に左右される。例えば、固定的な性別役割分担のある家庭を描く作品や、女性に対する暴力を批判的に描写する映画・漫画も、内容の一部だけを取り出せば対象に含まれかねない。暴力や差別を描写することは、それらを肯定・助長することと同じではない。

日本国憲法第21条は表現の自由を保障している。また、令和8年3月13日閣議決定の第6次男女共同参画基本計画は、メディア関連施策において表現の自由を十分尊重する考え方を示している。

行政が個別の表現の価値を判定して排除を促すことと、男女共同参画に関する情報発信や自主的な学習機会を充実させることは区別されるべきである。

「排除」という目標を掲げたままメディアに協力を働きかければ、法的な禁止がなくても、事業者や制作者が行政の評価を懸念し、適法な作品の制作・発表・流通を控える萎縮効果が生じ得る。

したがって、87ページの「これらを助長又は連想させるような表現の排除に向けた社会的気運の醸成を図るため」との部分を削除し、男女共同参画と人権尊重についての広報・啓発、学習機会の充実を行う趣旨へ改めることを求める。

また、82ページ及び87ページのメディアへの働きかけについて、適法な表現の排除や自粛を求めるものではなく、表現の自由及びメディアの自主性を十分尊重する旨を明記すべきである。

87ページ「施策の基本的な方向(5)人権を侵害するような性・暴力表現を扱ったメディアからの青少年などの保護」
「人権を侵害するようなメディアでの性・暴力表現への対応として、法令等に基づき、対策を講じます。その際、インターネットなどのメディアへの対応や、児童の権利保護、青少年の健全育成の観点に配慮します。」

≪意見要旨≫
「人権を侵害するような性・暴力表現」という記載は、実在人物の権利を侵害する情報と、現実の被害者への権利侵害を伴わない創作上の描写との区別が不明確である。
見出し及び施策名についても、違法な情報への対応と青少年保護のための法令上の措置を区別し、適法な表現一般が取締り等の対象となる趣旨ではないことを明確にすべきである。

≪意見詳細≫

児童買春・児童ポルノ禁止法に基づく対策や、わいせつ事案等の犯罪の取締りについて異論はない。

しかし、実在人物の権利を侵害する情報と、漫画・アニメ・ゲーム等における架空の人物の性・暴力描写は区別する必要がある。現実に行えば違法となる行為を描写したという理由だけで、その表現自体が違法又は人権侵害となるわけではない。

また、本施策には犯罪の取締りと青少年保護を目的とする規制が並記されているが、青少年への販売等が制限される表現であっても、それが一般に違法であることを意味しない。

令和8年3月13日閣議決定の第6次男女共同参画基本計画では、「表現の自由を十分尊重しながら」と明記し、「違法な性・暴力表現」の流通防止などを掲げている。

本計画においても、実在人物への権利侵害を伴う情報と適法な創作表現を区別し、既存法令に基づく規制の対象を明確にするとともに、表現の自由を十分尊重する旨を明記すべきである。

55ページ「施策の基本的な方向(1)」推進項目②「暴力の発生を防ぐ環境づくり」ウ
59ページ「施策の基本的な方向(5)」推進項目②「暴力の発生を防ぐ環境づくり(再掲)」ウ
「埼玉県青少年健全育成条例に基づく有害な環境に対する規制・業界への指導」
87ページ「施策の基本的な方向(5)」推進項目①ア
「埼玉県青少年健全育成条例に基づく有害な環境に対する規制・業界への指導(再掲)」

≪意見要旨≫
青少年健全育成条例は青少年の健全な育成を目的とする制度であり、男女共同参画や性暴力防止を直接の目的とする制度ではない。
有害図書類の指定制度が、男女共同参画の観点から適法な表現を規制する手段として用いられることを防ぐため、当該制度を男女共同参画・性暴力防止施策から切り離すか、少なくとも制度本来の目的に限定して運用する旨を明記すべきである。

≪意見詳細≫

青少年を性的搾取や犯罪被害から保護することの重要性について異論はない。

しかし、埼玉県青少年健全育成条例は青少年の健全な育成を目的とする制度であり、男女共同参画や性暴力防止を直接の目的とする制度ではない。

同条例に基づく有害図書類の指定は、青少年への販売等を制限するものであり、当該表現が男女共同参画を阻害したり、現実の性暴力を助長したりすることを意味しない。

また、本計画では「固定的性別役割分担意識や女性に対する暴力を助長又は連想させるような表現の排除に向けた社会的気運の醸成」も掲げている。こうした価値判断が有害図書類の指定基準に持ち込まれれば、条例本来の目的を超えて適法な創作表現への規制が拡張されるおそれがある。

なお、同条例には実在する青少年を性的搾取等から保護するための規制も含まれており、これらは有害図書類の表現規制と区別すべきである。

したがって、有害図書類の表現規制に関する施策は男女共同参画・性暴力防止施策から切り離すことを求める。少なくとも、条例本来の目的及び要件に従って運用し、男女共同参画上の価値判断を規制基準に追加するものではないことを明記すべきである。

・87ページ「施策の基本的な方向(4)」
88ページ「基本目標Ⅳ-2 男女共同参画の視点に立った教育・学習の充実」
157ページ「用語の解説 メディア・リテラシー」

≪意見要旨≫
メディア・リテラシーの普及啓発は重要であるが、87ページでは「表現の排除に向けた社会的気運の醸成」とメディア・リテラシーに関する講座等が同一の施策に位置付けられており、行政が特定の表現に対する評価や結論へ誘導する教育として運用されるおそれがある。
メディア・リテラシー教育は、計画案157ページに定義された「主体的に読み解く」という趣旨に沿い、多様な情報や表現について県民自身が主体的かつ多角的に考え、判断する能力を育成するものであることを明確にすべきである。

≪意見詳細≫

メディア・リテラシーを身に付けることや、男女共同参画を含む様々な視点を学ぶことには意義がある。

本計画案157ページでは、メディア・リテラシーを「メディアからの情報を主体的に読み解き、自己発信する能力のこと」と定義している。

一方、87ページでは「固定的性別役割分担意識や女性に対する暴力を助長又は連想させるような表現の排除に向けた社会的気運の醸成」を掲げ、そのための広報・啓発や学習機会の充実とともに、メディア・リテラシーに関する講座等の開催を同一の施策に位置付けている。

また、88ページでは、こどもがメディア・リテラシーを身に付けることの必要性に続いて、「男女共同参画の視点に立った行動を促進していく必要があります」と記載されている。

男女共同参画の視点を学ぶことと、その視点から情報や表現をどのように評価するかは区別すべきである。

特に、表現の排除を目指す施策とメディア・リテラシー教育を結び付けることは、県民自身が多角的に情報や表現を検討するための教育ではなく、行政があらかじめ示した方向性に沿って表現を評価するための教育として運用されるおそれがある。

また、82ページにおいても、県民自身が情報を主体的に読み解き、自己発信できる能力を養う必要性が示されている。このように、本計画案自身が主体的な判断を重視している以上、メディア・リテラシー教育が行政の示す特定の評価や結論へ誘導するものとならないよう、施策の目的を明確にする必要がある。

メディア・リテラシー教育において重要なのは、多様な情報や表現を検討するための知識や視点を提供し、それらを踏まえた評価や判断を一人一人の主体性に委ねることである。

したがって、メディア・リテラシーに関する施策については、特定の表現に対する評価や結論へ誘導するものではなく、県民自身が主体的かつ多角的に考え、判断する能力を育成するものであることを明記すべきである。

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