AFEEでは、国で行われている「デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会青少年保護ワーキンググループ第一次報告書(案)」についての意見を提出致しました。Discordに寄せられた会員の皆さんの意見をベースに、Discordの公開役員会で議論致しました。
「デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会青少年保護ワーキンググループ第一次報告書(案)」への意見
エンターテイメント表現の自由の会 代表 坂井崇俊
弊会は「デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会青少年保護ワーキンググループ第一次報告書(案)」について意見致します。
第4章 本会合における議論
3.PFサービスの設計上の青少年保護措置
PF サービスごとに設計・特性が異なることや、こどもたちの知る権利等を確保する必要性から、利用に対する一律の 「年齢制限」 (一定年齢以下の使用禁止)をかけることは望ましくないのではないか。
サービス設計や特性等に応じた「年齢確認」の厳格化を検討すべきではないか。
リスク評価の一環として公表を求めるべきではないか
≪意見詳細≫
年齢に応じた保護措置の必要性や、その前提としての年齢確認の重要性については理解する。また、一律の年齢制限ではなく、プライバシーに配慮した仕組みを志向している点は評価したい。
一方で、年齢確認の厳格化は、運用次第では年齢確認情報とアカウント情報の紐付けを通じて実在個人との結び付きにつながり、匿名による表現活動や情報アクセスに萎縮効果を及ぼすおそれがある。
制度設計に当たっては、諸外国の先行事例を参考に年齢確認と本人特定を明確に切り分け、匿名性やプライバシーを損なわない仕組みとすることを求める。
また、リスク評価や第三者によるモニタリングについては、「リスク」の定義を明確なものとしたうえで評価基準や手続の透明性を確保するとともに、評価対象や評価方法が明確となるよう制度設計を行うべきである。その運用に当たっては、適法な創作物や表現活動に対する過度な自主規制を誘発しないよう十分配慮することを求める。
第4章 本会合における議論
4. アプリストアのレーティング
アプリストアによって適用されるレーティングに差異が生じることは合理的ではないが、一方で、政府がレーティングを指定するということは望ましくないため、どのような主体 ・体制がレーティングに関して青少年保護の役割を果たすべきか検討すべきではないか。
≪意見詳細≫
政府がレーティングを指定すべきではないとの方向性については、表現の自由を担保する観点から賛同する。
ただし、今後の民間主導等による制度設計においては、以下の観点から慎重な運用の担保を求める。
・運営主体の独立性と判断基準の透明性確保
レーティングが政治的・社会的な圧力に左右されないよう、運営主体の独立性を担保すること。また、審査・判断の基準やプロセスを公開し、開発者やユーザーにとって予測可能性の高い透明な制度とすべきである。
・過度な自主規制による創作活動への萎縮防止
安全性を重視するあまり、レーティング基準が過剰に厳格化されれば、適法なコンテンツや創作表現の流通が不当に制限されるリスク(プラットフォーム側の過度な自主規制)がある。これを防止するための適切なガイドラインや不服申し立て手続き等の仕組みを設けるべきである。
第4章 本会合における議論
5.フィルタリング機能を含む技術的保護手段
通信回線の多様化や新たなリスクに対応するためには、閲覧制限を目的とした 「フィルタリング」よりも広く、技術で青少年を保護するという意味で 「技術的保護手段」を求めることとし、環境整備法上の在り方について検討すべきではないか。
発信リスク等の新たなリスクへの対応については、各関係者における技術的対応可能性を踏まえた役割分担を含む検討が必要となるが、OS 事業者が提供する保護機能については、その有用性を踏まえ 「技術的保護手段」として提供を義務付けるべきではないか
≪意見詳細≫
「フィルタリング」からそれを含めた「技術的保護手段」を充実させ、発信に対するリスクにも対応する必要性については理解する。
一方、従来のフィルタリングは青少年の情報アクセス、つまり知る権利に影響を及ぼすものであったのに対し、発信にかかる制限は、青少年自身の表現・制作活動やコミュニケーションにも影響を及ぼすこととなる。
そのため、発信リスクへの対応を理由とした「技術的保護手段」を拡張する場合は、閲覧への制限以上に表現の自由や通信の自由への影響を十分考慮する必要がある。
よって、対象範囲や目的を明確にしたうえで過度に利用者の選択肢や情報アクセス、発信を制限するものとならないよう配慮を求める。
第4章 本会合における議論
6.携帯電話事業者による各種確認義務
携帯電話事業者が確認した年齢情報を今後どのように活用していくのかについては、年齢確認手法の検討(4(3)②)と併せて検討すべきではないか。
≪意見詳細≫
携帯電話事業者が保有する年齢情報を他事業者が利用する仕組みを検討する場合には、利用目的を「青少年保護に必要な範囲」に限定するとともに、表現の自由の萎縮とならないよう本人のプライバシーや個人情報保護に十分配慮した制度設計を行うべきである。
全体を通して
≪意見詳細≫
本ワーキンググループの検討対象が、技術的保護手段やサービス設計を通じた青少年保護にあることは理解する。また、そのような取組を充実させることは重要である。
一方で、技術的保護手段には限界があり、これを回避する手法は今後も生まれ続けることが想定される。また、保護措置によって危険な情報から隔離するだけでは、その情報がなぜ危険であり、どのようなリスクがあるのかを本人が理解する機会が失われるおそれもある。
青少年保護を持続的なものとするためには、技術的保護手段に加え、青少年が情報を主体的に判断し、社会に出た後も適切に行動できるICTリテラシーを身に付けることが不可欠である。今後の制度設計においては、技術的措置とリテラシー教育を相互に補完するものとして推進することを期待する。