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AFEE エンターテイメント表現の自由の会

「次期山形県男女共同参画計画(案)」への意見

AFEEでは、山形県で行われている「次期山形県男女共同参画計画(案)」についての意見を提出致しました。Discordに寄せられた会員の皆さんの意見をベースに、Discordの公開役員会で議論致しました。

「次期山形県男女共同参画計画(案)」への意見

エンターテイメント表現の自由の会 代表 坂井崇俊

弊会は「次期山形県男女共同参画計画(案)」について意見致します。

p.31 施策の方向1 多様な生き方・価値観を尊重する意識の向上

(1)固定的な性別役割分担意識やアンコンシャス・バイアスの解消に向けた取組みの強化
③ ジェンダーバイアス※への気づきを促すため、多様なメディアにおける「男女共同参画の視点に配慮した表現のガイドライン」の活用を促進。(多様性・女性若者活躍課)

≪意見要旨≫
本計画案において「多様なメディア」に対し「男女共同参画の視点に配慮した表現のガイドライン」の活用を促進するとする記載は、その対象範囲が不明確であり、県の広報に限定されない場合には、マスメディアや個人のSNS発信等に対する行政の価値観の介入を許容するものとなり得る。表現の自由に対する萎縮効果を生じさせるおそれがあるため、対象を県の広報活動に限定する旨を明記すべきである。

≪意見詳細≫
本計画案で活用を促進するとされているガイドラインの正式名称は「自治体職員向け男女共同参画の視点に配慮した表現のガイドライン―公的広報の手引き―」であり、その性質上、自治体職員による公的広報を対象とした内部的な指針であることが明確である。

したがって、本来の趣旨は行政自らの情報発信において表現上の配慮を行うためのものであり、民間の報道機関、出版社、放送事業者、インターネットメディア、さらには一般個人のSNS投稿等を対象とすることは想定されていないと解される。

しかしながら、本計画案では「多様なメディアにおける…活用を促進」と記載されており、文言上は公的広報に限定されていない。このような記載は、自治体内部向けの手引きを、民間メディア全般に対する規範として波及させる余地を残すものであり、目的外活用と評価され得る。

行政が一定の価値観に基づく表現基準の普及を広範なメディアに対して促進することは、事実上、民間の表現活動に対する行政的評価や圧力として機能し得る。たとえ法的拘束力がないとしても、公的機関によるガイドラインの提示は、メディア事業者や創作者に対し自己検閲を促す萎縮効果を生じさせるおそれがある。

表現内容に対する価値判断は、本来、多様な主体による議論や批評を通じて形成されるべきものであり、行政が広範なメディア全体に対して一定の方向性を示すことは慎重であるべきである。

よって、本記載については対象を山形県の広報活動等に限定する旨を明確に記載するか、民間の表現活動を対象としないことを明示すべきである。

p.31 施策の方向1 多様な生き方・価値観を尊重する意識の向上

(1)固定的な性別役割分担意識やアンコンシャス・バイアスの解消に向けた取組みの強化
④ 有害図書類の指定や販売店などへの立入調査等を実施。(多様性・女性若者活躍課)

≪意見要旨≫
男女共同参画計画において「有害図書類の指定や販売店などへの立入調査等を実施」と記載することは、青少年健全育成条例に基づく制度の枠組みを、男女共同参画施策の中に位置付けるものであり、制度目的との整合性を欠く。表現規制的措置を男女共同参画政策の手段として用いることは不適切であり、本記載は削除すべきである。

≪意見詳細≫
本計画案では、「有害図書類の指定や販売店などへの立入調査等を実施」と記載されている。
しかし、有害図書類の指定制度および販売店への立入調査は、通常、青少年の健全育成を目的とする青少年健全育成条例に基づき運用される制度であり、その趣旨は青少年保護にある。

これを男女共同参画計画の施策として位置付けることは、制度本来の目的とは異なる政策目的、すなわちジェンダー施策の一環として表現物規制を活用することを意味しかねない。これは制度目的の拡張的解釈、すなわち事実上の目的外活用につながるおそれがある。

特に男女共同参画の文脈において「有害」概念が用いられる場合、その判断基準が「固定的性別役割分担の助長」や「ジェンダーバイアス」といった抽象的概念と結びつく危険がある。そうなれば、本来青少年保護に限定されるべき有害指定制度が、表現内容に対する行政の価値判断を反映させる手段として機能する懸念がある。

表現の自由は、たとえ不快・不適切と評価され得る表現であっても原則として保障されるものであり、既存の条例制度の運用を他の政策目的と結びつけることは、表現活動に対する萎縮効果を生じさせかねない。

よって、本計画において有害図書類指定や立入調査を施策として掲げることは適切ではなく、本記載は削除すべきである。

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