AFEEでは、滋賀県でで行われている「パートナーしがプラン2030」についての意見を提出致しました。Discordに寄せられた会員の皆さんの意見をベースに、Discordの公開役員会で議論致しました。
「パートナーしがプラン2030」への意見
エンターテイメント表現の自由の会 代表 坂井崇俊
弊会は「パートナーしがプラン2030」について意見致します。
p.34 目指す姿Ⅱ 性別にかかわらず一人ひとりが安全・安心に暮らせる社会
(2)重点 あらゆる暴力やセクシュアルハラスメント等の根絶
・性・暴力表現等による社会への影響について社会的な理解を高めるため、表現の自由を十分尊重しながら、広報・啓発や学習機会の充実を図ります。
≪意見要旨≫
本記述は表現の自由への配慮を明示している点は評価できるが、行政が表現内容の影響について言及し、啓発や学習を行うこと自体が、結果として表現の自由に影響を及ぼす可能性がある。そのため、非介入の原則や運用上の配慮を、より丁寧に示すことが望ましい。
≪意見詳細≫
「表現の自由を十分尊重しながら」との文言が添えられていることは、施策が表現の自由と一定の緊張関係を持ち得ることを踏まえた配慮であると受け取めている。
しかしながら、行政が性・暴力表現等の「社会への影響」を取り上げ、理解促進を目的とした広報・啓発や学習を行う場合、その内容や示し方によっては、表現内容に対する評価や方向性を示していると受け止められるおそれがある。
表現の自由は、行政が表現の価値や是非に踏み込まないことによって、より確実に保障される性質を持つ。そのため、直接的な規制を意図しない施策であっても、公的主体が表現内容に言及する以上、創作者や受け手に心理的な影響を与え得る点には十分な注意が必要である。
よって、本方針については「社会への影響」のように根拠が不確かな前提に基づく記述は削除したうえで、啓発や学習の目的を受け手側の多様な受け止め方を尊重するものに限定し、特定の表現を問題視したり評価したりするものではないことを明確にするべきである。
p.35 目指す姿Ⅱ 性別にかかわらず一人ひとりが安全・安心に暮らせる社会
(2)重点 あらゆる暴力やセクシュアルハラスメント等の根絶
青少年の健全な育成を阻害するおそれのある性・暴力表現等を扱った出版物等の販売等を制限するとともに、インターネット利用におけるフィルタリングの推奨等に努め、青少年が有害環境に誘惑されることなく自らを大切にする心をはぐくめるよう広報・啓発を行います。
≪意見要旨≫
本記述中の「販売等を制限する」における「等」は内容が不明確であり、過度な解釈によって表現活動や流通の萎縮を招くおそれがある。また、出版物等の販売制限は男女共同参画計画の範囲を超えており、扱うのであれば青少年健全育成条例等の枠組みで整理すべきである。
≪意見詳細≫
本方針では、「青少年の健全な育成を阻害するおそれのある性・暴力表現等を扱った出版物等の販売等を制限する」とされているが、「販売等」に含まれる具体的内容が明示されていない点は重大な問題である。
「等」という曖昧な表現は、販売以外にも陳列、広告、紹介、創作や発信そのものまで含まれるのではないかとの不安を生じさせ、事業者や創作者、流通関係者に過度な自主規制を促す結果になりかねない。これは直接的な禁止がなくとも、表現の萎縮を招く要因となる。
また、出版物や表現物の販売制限は、表現の自由や知る自由に直結する高度に慎重な判断を要する分野であり、その是非や範囲は、通常、青少年健全育成条例など、目的と権限が明確に限定された制度の下で議論・運用されるべきものである。
男女共同参画の推進を目的とする計画の中で、青少年健全育成を目的とした表現内容や流通への制限に踏み込むことは、政策目的との整合性を欠き、行政施策の射程を不当に拡張するものと言わざるを得ない。
本計画において青少年への配慮を述べる必要があるとしても、販売制限のような強い手段を曖昧な形で盛り込むのではなく、所管や法的根拠を明確にした別枠の制度に委ねるべきである。
なお、滋賀県青少年の健全育成に関する条例第2条は、同条例が「青少年の健全な育成を図るためにのみ適用する」ものであり、「これを濫用し、県民の自由と権利を不当に制限するようなことがあってはならない」と明確に定めている。この趣旨を踏まえるならば、関連計画においても、制限的措置が目的外に拡張されたり、安易に用いられたりすることがないよう、強い自制と明確な線引きを示す必要がある。本記述は、その点への配慮が十分とは言えず、条例の基本理念を明示的に確認した上での修正、または削除が求められる。
p.35 目指す姿Ⅱ 性別にかかわらず一人ひとりが安全・安心に暮らせる社会
(2)重点 あらゆる暴力やセクシュアルハラスメント等の根絶
リベンジポルノや児童買春、「自画撮り被害」を含む児童ポルノ事犯など、インターネット上の性的な暴力等の防止に向けて、取締りを行うとともに、SNSの適切な利用方法や有害サイト利用に伴う危険性の啓発等、ICTリテラシーやメディア・リテラシーの向上に向けた取組を推進します。
≪意見要旨≫
本記述における「有害サイト」という用語は定義が不明確であり、啓発の対象範囲が過度に拡張されるおそれがある。違法行為の防止と、合法的な表現・情報へのアクセスとを明確に区別する観点から、用語の整理と限定が必要である。
≪意見詳細≫
本方針では、リベンジポルノや児童ポルノ事犯といった明確に違法な行為への取締りと並び、「有害サイト利用に伴う危険性の啓発」を掲げている。しかし、「有害サイト」という用語が具体的に何を指すのかが示されておらず、その範囲が極めて曖昧である点が問題である。
違法な画像・情報を扱うサイトと、合法ではあるが性的表現や刺激的内容を含むサイトとでは、性質も法的評価も大きく異なる。定義が不明確なまま「有害」というレッテルを用いれば、違法性のない表現や情報まで一括して危険視され、利用者や事業者に過度な萎縮をもたらすおそれがある。
本来、犯罪行為への取締りは刑罰法規に基づき厳格に限定されるべきであり、啓発施策においても、その対象は具体的なリスク行為や被害類型に即して明確化される必要がある。ICTリテラシーやメディア・リテラシーの向上を目的とするのであれば、抽象的な「有害サイト」という概念を用いるのではなく、どのような行為や状況に注意が必要なのかを具体的に示し、合法的な表現や正当な情報へのアクセスを不当に制限しない姿勢を明確にすべきである。