AFEEマガジン19号にご寄稿いただいた記事です。
路上ライブの地域ルールと課題の考察
柏市議会議員選挙候補予定者(執筆当時) 及川ゆうや
今年六月十三日、柏駅東口・ペデストリアンデッキで、シンガーソングライターの悠里さんが名曲「ペデルギウス」などの曲をギター生演奏で路上ライブをおこないました。ちょうど夕方におこなわれたこともあり、学校帰りの高校生や学生、通りかかった方など、多くの方が立ち止まり、生の路上ライブを堪能していました。
柏駅前の路上ライブは、これまで、Something ELseやヌンチャク、ナオト・インティライミなどがおこなっていました。ストリートライブや「柏駅前」の注目が集まってから、柏駅前でライブをおこなうかたが増え、柏が音楽の街としての頭角を現すようになりました。
この街だからできた、音楽の街。週末になると、西口直結の柏高島屋本館入り口前で、地元の高校や中学校の吹奏楽部演奏をはじめとしたステージもおこなわれ、柏駅を降りたら、何かしらの生演奏が聞こえる風景がありました。
その一方で、競うように演奏がおこなわれたり、爆音を出す等、無法状態と化したことから、二〇〇五年より、ペデストリアンデッキで演奏をおこなう際は、登録制とする「ストリートミュージシャン登録制度」がスタートしました。
二〇一七年からは、柏市に来なくても、スマホ端末等でオンライン登録ができる仕組みになっています。この登録制度は、柏市・中心市街地整備課が案内窓口となり、申請受付等はSTREET BREAKERS がおこなっています。
路上ライブにおいての地域ルールは、私の住む柏市だけでなく、いろいろな自治体で設定しています。
自由が守られているとはいえ、「表現の自由は無条件に保障するものではなく、他者の権利や利益を考えると、道路交通法の規定は合理的であるため憲法上、認めるべき」という判例(※)をも考慮すると、一定のルールを設定して、誰もができるようにしておくのが必定と思うところです。
柏市の場合は、年間二〇〇以上の方からの申請があるので、効果はあると思います。競い合いなどの光景はないので良い部分ではあります。
しかし、コロナ禍を経たこともあるのか、実感として路上ライブをおこなう方が減ったように思えます。路上ライブをするうえで、自身の制作した曲や本などの販売もしたいところです。路上ライブで物販をおこなうと「露店」扱いとされ、別途、警察等への届出が必要になるようです。
大阪市・ミナミの「ナンバヒップス」のように、「公認イベント」制を用いて、演奏者への柔軟性を高めている実例があります。
登録が必要な代わりに、登録するとできることがあるような運用や、申請先を一つだけで、ワンストップで全ての手続きが可能とする運用設定をすること、登録制がある・ないなどの情報ポータルを設定することで、演奏者にとって、やりやすさや、街における音楽等の創造・文化、コンテンツ産業の保護・発展が担保されるのではないでしょうか。
※最高裁昭和57年11月16日第三小法廷判決
及川ゆうや(おいかわ・ゆうや)
九八二年九月生
岩手県江刺市(現・奥州市出身)
岩手県立金ケ崎高等学校卒
高崎経済大学地域政策学部地域政策学科卒
卸売会社、会計事務所、大学事務を経て、司法書士事務所勤務・兼業農家