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働いただけで逮捕?刑法175条の恐怖。(岡山県津山市議会議員  三浦ひらく)

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働いただけで逮捕?刑法175条の恐怖。

岡山県津山市議会議員  三浦ひらく

覚えておいでだろうか。1991年2月22日、東京の3店舗の書店員が突然逮捕される事件が発生。書泉ブックマートの店長と店員2名など計5名がわいせつ図画販売目的所持の容疑で逮捕された。刑法175条に抵触する「わいせつな」同人誌を販売するために所持していたというのだ。同店は当時、本の街・神保町を代表する大型書店の一つだった。一般書店の店員が本を仕入れて売るという、まさにその仕事のために逮捕された事実に、書店業界をはじめ関連業界や同人界隈は騒然となった。捜査は作者、編集、販売、印刷所、他の書店などにも及ぶ。関係各所への家宅捜索が行われ、大量の証拠品が押収された。報道によると4月までに計74名が同容疑や同ほう助容疑で逮捕または書類送検される大事件となったのだ。
ここで、当時のマンガ表現を取り巻く状況を確認しておきたい。89年に宮崎勤事件が白日の下に晒され、その残忍極まる犯行に報道は過熱していく。「おたく族」「ロリコン」とされた宮崎の趣味嗜好と犯行の因果関係が、真偽のほどは脇に置かれたままセンセーショナルに論じられた。そしてこれを機に「有害」コミック問題が持ち上がる。90年にはヤングサンデーに連載中だった遊人の『Angel』が休載に追い込まれた。
宮崎は、コミケにサークル参加していたとも報じられた。この時期のコミケはサークル数や参加者数が急増していた。89年の夏には参加者が初めて10万人に到達。同年の冬からは幕張メッセに会場を移し、90年の夏は23万人の参加者を記録している。コミケの認知度が上がり、良くも悪くも同人誌が世間から注目され始めた時代だった。
そんな中、91年の夏コミはメッセでの開催が告知され、サークル申込まで済んでいたにもかかわらず、メッセ側から会場使用を拒否されてしまう。有名な「コミケ幕張メッセ追放事件」である。警察に届いた遺失物に性器が無修正の同人誌が含まれていた(諸説あり)ことから、警察が準備会とメッセに事情聴取したのが発端とされる。なお当時の成人向け同人誌はほとんどが無修正であったようだ。コミケのサークル参加者が、わいせつ図画販売などの疑いで書類送検される事件も発生した。結局、準備会は急遽会場を晴海の見本市会場に戻すこととし、現在に続く見本誌チェックを導入、わいせつ図画頒布の防止対策を講じることで、なんとか夏コミ開催にこぎつけたのだった。
わが国において、わいせつ物頒布等を罰する規定である刑法175条。今年も警察はこの規定に基づき「まんだらけ」の社長を書類送検し、クレジットカード会社に対してFC2に対する決済を停止するよう要請している。
普通に仕事をしているだけの書店員が突然逮捕される国、ニッポン。これは決してどこかの独裁国家の話ではない。ディストピアを描いたフィクションのストーリーでもない。わが国の、私たちが住むこの日本の、紛うことなき現実であることを改めて考えていただきたい。

三浦 拓(みうら ひらく)

世界一のキャラ議員。
世界を暮らしやすく楽しく変えるため、相棒ひらくマと日夜ハゲむ。
選択肢の多い社会実現を目指す岡山県津山市議。政治も手段の一つ。
地域創造・地域振興、マイノリティー支援。表現の自由。インフルエンザ脳症撲滅。
臓器提供意思表示推奨。世界からあらゆる理不尽を減らすため戦う。
#誕生日おめでと運動の言い出しっぺ。

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