AFEEマガジンにご寄稿いただいた記事を、ご本人の許可を得てAFEEのサイトに投稿します。
統一地方選挙でより多くの表現の自由系議員を
品川区議会議員・弁護士 松本ときひろ
表現規制論争は、「保守」が道徳的・ナショナリズム的見地から規制強化を求め、「リベラル」が表現の自由の見地から反対するというのが10年位前までのよくある構図でした。2010年の東京都青少年健全育成条例改正案、非実在青少年の問題が典型例です。
しかし、最近、「リベラル」の側から表現規制論やキャンセルカルチャー論が出ることが増えてきました。そもそも、「保守」「リベラル」という概念自体、極めて曖昧なものだと私は考えていますが、イメージ優先でそこはひとまず置いておくとして、ヘイトスピーチやポリティカル・コレクトネスといった概念が強調されるようになったことで、「リベラル」内での価値序列が変化しつつあるのだと思います。一方で、「保守」の側からも国旗損壊罪制定が叫ばれるなど状況は混沌としています。各政党内に表現規制派と反表現規制派が混在しており、さらにイシュー、表現内容によっては同じ政治家が手のひらをクルクル回すというのが現代の政治状況といえます。
私が所属する日本維新の会において、表現の自由を重視する立場の議員は、憲法論に加え、維新という政党が規制改革を訴えてきた政党である点を強調します。すなわち、表現規制も、改革の対象となる規制の一種であり、可能な限り表現者の自由に任せることがより良い社会を形成すると考えるのです。党内にはこうした考え方に対して、そうはいっても程度問題だという異論もありえますが、2021年に党の政策責任者である政務調査会長に就任した音喜多駿参議院議員は、都議時代から表現の自由を重視してきた政治家です。
私も、SNSなどでの対外的な発信に加え、党の学生担当責任者として、維新を支持してくれている学生達と表現の自由について議論したり、東京維新の会(いわゆる都連)の勉強会で表現の自由の重要性を訴えたりしています。また、SNS上の誹謗中傷が社会問題となり、維新としても対策法案を提出することになりましたが、この際には、弁護士議員として法案作成チームの事務局長を務め、厳罰化などの規制強化ではなく、法案が支援体制の整備、人員の充実などのソフト路線となるよう調整に努めました。
いずれにせよ、ある政治家が表現の自由を重視するか否かは、政党を見るだけでは分からない時代になってきました。そうした中で2023年には統一地方選挙があります。地方自治体レベルの男女共同参画ガイドラインに、不適切な表現として「萌え絵」が挙げられるなど地方議会も表現の自由を守るためには重要です。どの候補者が、表現の自由を守るためにコミットしてくれるのか、是非読者の皆様には、「こういう事例の場合はどう考えますか?」と各候補者に具体的に質問して確認して頂き、表現の自由を守るための一票を投じて頂ければと思います。
(2022年12月)
松本ときひろ(まつもと・ときひろ)
品川区議会議員・弁護士。日本維新の会学生局長。
山口県出身。宇部高等学校(卒業生に庵野秀明監督)、一橋大学社会学部卒業。
会社員、フリーター経験を経て早稲田大学大学院法務研究科へ。
弁護士資格取得後は、国会議員政策秘書等を務め、2014年に武蔵小山法律事務所を開所。
2019年初当選。世界初のバーチャルユーチューバー議員。