東京都青少年健全育成審議会の運営に関する意見書
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東京都青少年健全育成審議会 委員の皆様
令和2年8月29日
エンターテイメント表現の自由の会
代表 坂井崇俊
私たちエンターテイメント表現の自由の会(AFEE)は日本国内で表現の自由および情報アクセスの自由を主張し、特にマンガ・アニメ・ゲームなど、エンターテイメントの全ての分野において消費者の権利・利益を守る活動を行う消費者団体です
東京都青少年健全育成審議会において、不健全図書である旨の答申がなされ、不健全な図書類の指定がなされると都内の多くの書店(区分陳列棚をもたない書店が多い)やAmazon等のネット書店から当該図書は姿を消します。このように不健全図書指定制度は本来権利を制限させる根拠のない成人や東京都以外の青少年に対しても現実的に大きな影響を与えており、不健全図書の指定には極めて慎重な審査が必要だと考えます
本年10月に審議会の29期が始まるにあたり、審議会の運営等に関する事項の確認がなされます。ついては、真に青少年の健全な育成を図るために以下意見を述べさせていただきます
1.会議録が匿名であり、公開までに時間がかかる
審議会が及ぼす影響が大きいにもかかわらず、審議が一部非公開で会議録の発言者が匿名であることは、意思決定に至った背景等の検証が十分に行えず不適切である。特に都議会議員の発言については、信託をした都民が確認できるよう氏名が公開されるべきである。また、運営要領によれば会議録の公開は「審議会終了後およそ1か月後」とされているが、現実には2か月以上かかることがほとんどであり運用改善が望まれる
2.青少年の意見が反映されていない(青少年の代弁者がいない)
青少年の意見は審議されないばかりか、その代弁者も委員として選出されていない。青少年を権利の主体としてとらえた議論ができておらず、本年4月に策定された「東京都子供・若者計画(第二期)」を踏まえた運用改善が望まれる
3.諮問・指定の基準があいまいである
事実上、「都が審議会に諮問=不健全図書指定」という状況の中で、諮問図書の選定方法や基準等が明文化されておらず、それを明文化した上で、諮問対象となった図書とそうでない図書を委員が比較できるような形で審査をおこなえるようするべきである(諮問対象とならなかった図書名の公開を行うかは別途検討が必要)
4.実施内容に対しての検証がなされていない
刑法等で禁止されている犯罪行為について書かれた書籍は近年ほぼ不健全図書指定されておらず、青少年の福祉を阻害するおそれのある行為の防止につながるかの検証ができていない。また、性行為表現そのものが青少年に悪影響を及ぼすかの検証も同様である。委員には児童心理学の専門家等を加え、検証が行われるべきである
5.スケジュールありきの不健全図書指定となっている
運営要領では「審議会は、原則としておおむね、月一回開催する」とあるが、本来であれば、諮問すべき図書等が見つかった時点で開催するべきである。現状の運用では、毎月の審議会に併せて不健全図書を探し出しているとの疑念がぬぐえない