総務省では、「発信者情報開示の在り方に関する研究会中間とりまとめ(案)に対する意見募集」を行っています。AFEEでは本件意見募集に応じることと致しました。
なお、本件については事前に役員会案を会員の皆さんにご意見を伺い、そのご意見を反映させたものになります。(3人より7つのご意見)
「発信者情報開示の在り方に関する研究会中間とりまとめ(案)」に対する意見
<第2章 具体的な検討事項>
1.発信者情報の開示対象の拡大
1-⑵電話番号
Ⅰ.SNS 等のサービスを提供する主要なコンテンツプロバイダの中には、1 つのドメイン名に複数の IP アドレスを割り当ててトラフィック量の増減に応じて用いる複数のサーバを自動的に変更するなどの負荷分散手法を活用している場合
Ⅱ.なお、電話番号がコンテンツプロバイダから開示されれば、発信者情報開示に係る裁判手続が1回で済むケースが増えるため、
Ⅰ.当該状況については、プロバイダによって投稿者を特定する方法が異なり、またポート番号まで把握してないサイトも多数との指摘もあり、投稿時のIPアドレスやタイムスタンプの情報を保有などプロバイダへの協力も含め、実効的な施策を検討を加える必要がある
Ⅱ.家族等でインターネット回線を共有、シェアハウスやマンション一棟でIPアドレスを共用、一時的に電話機を使用させたなどのケースもあり、裁判手続きまたはその他において開示された情報が、すなわち、加害者であるとの断定がなされないような記述が必要である。(「未成年や無職の家族がやったから」という免責を認めるという趣旨ではない)特に、本裁判において、その点についての再度の事実確認がなされないことはあってはならない。(仮処分等の事前の手続きにおいては、本裁判の加害者とされる人物に事実上の反証機会がないことに注意。)
なお、発信者情報の開示対象に電話番号を追加することは賛成である
1-⑶ログイン時情報
ログイン時情報を開示対象とする場合であっても、権利侵害投稿の通信とログイン時の通信とが、同一の発信者によるものである場合に限り、開示できることとする必要がある。
家族等でログイン情報を共有、一時的にログイン情報を貸与(過失の場合も含む)したなどのケースもあり、裁判手続きまたはその他において開示された情報が、すなわち、加害者であるとの断定がなされないような記述が必要である。(「未成年や無職の家族がやったから」という免責を認めるという趣旨ではない)特に、本裁判において、その点についての再度の事実確認がなされないことはあってはならない。(仮処分等の事前の手続きにおいては、本裁判の加害者とされる人物に事実上の反証機会がないことに注意)
1-⑷その他の情報
近年、アクセスプロバイダの中には、IPアドレス(IPv4 アドレス)の枯渇等の理由により、同一のIPアドレスを同時に多数の契約者に割り当てており、アクセスプロバイダが発信者を1名に特定するためには、接続元IPアドレス及びタイムスタンプのみならず、接続先IPアドレスが必要になる場合が生じている。
現実的な発信者の特定方法には様々な手段があり、本件記載の範囲に留まらず幅広い手段の研究とそれに併せた検討が行われるべきである。
2.新たな裁判手続の創設について
発信者の権利利益の確保に十分配慮しつつ、円滑な被害者の権利回復が適切に図られるようにするため、柔軟な制度設計を可能とする観点から、例えば、法改正により、発信者情報開示請求権という実体法上の請求権に基づく開示制度に代えて、非訟手続等として被害者からの申立てにより裁判所が発信者情報の開示の適否を判断・決定する仕組み(新たな裁判手続)を創設することについて、創設の可否を含めて、検討を進めることが適当である。
具体的な制度の検討は今後の課題であるが方向性としては賛成である
2-⑵新たな裁判手続の制度設計における論点
Ⅰ.他方、訴訟手続に代えて非訟手続とした場合の課題としては、非訟手続においては、原告と被告という対審構造や裁判手続の公開が原則とはされていないこと、既判力がないことなどの特徴があることから、制度設計次第では、
① 現行の発信者情報開示訴訟とは異なる当事者構造となることにより、あるいは、発信者側の主張内容が裁判手続に十分に反映されないことにより、適法な情報発信を行う発信者の保護が十分に図られなくなるおそれがあり得ること
② 裁判手続の取下げや紛争の蒸し返しが比較的容易であり、また、それが外部から見えにくい等により、手続の濫用の可能性があり得ること等が挙げられる。Ⅱ.この点、円滑な被害者救済を図る観点から、現行プロバイダ責任制限法第4条 第1項に定める発信者情報開示請求権の開示要件(「権利侵害の明白性」の要件) について、より緩やかなものにすべきとの考え方がある一方で、適法な匿名表現を行った者の発信者情報が開示されるおそれが高まれば、表現行為に対する萎縮効果を生じさせかねないことから、現在の要件を維持すべきとの指摘が多くの構成員からあったことも踏まえ、現在の要件を緩和することについては極めて慎重に検討する必要がある。
Ⅲ.新たな裁判手続を導入した場合には、前述1.の発信者情報の開示対象の拡大と相俟って、発信者情報開示の請求を行いやすくなることが期待される反面、当該手続の悪用・濫用(いわゆるスラップ裁判(訴訟))も増える可能性があることから、それを防止するための仕組みを検討する必要があるとの指摘があった。
Ⅰ.手続が濫用される可能性に対しては、十分に考慮されるべきである
Ⅱ.要件の緩和によって、不法行為とならない匿名表現を行った者の発信者情報が開示されることはあってはならないと考える
Ⅲ.スラップ訴訟を容認しないことを明示するべきである
4.海外事業者への発信者情報開示に関する課題
したがって、前述の新たな裁判手続の仕組みの具体的な検討に当たっては、上記の観点も踏まえつつ、検討を進めることが適当である。
総務省だけでなく、各府省と連携をとりながら実態把握から進めていく必要がある
5.裁判外(任意)開示の促進
しかしながら、発信者情報は、その性質上、いったん開示されてしまうと原状回復が難しいこと、また、本来開示すべきではない適法な情報発信であるにもかかわらず、発信者情報が開示されるケースが増加すれば、適法な情報発信が行いづらくなるなど、表現活動に対する萎縮効果を生じかねないこと、さらに、発信者情報開示制度の悪用や濫用、濫訴等のリスクが高まる可能性や、不真面目なプロバイダによる不適切な対応を是認する形になる可能性などの懸念が払しょくできないことから、判断を誤って裁判外で開示した場合の免責規定の導入は不適当であると考えられる。
表現活動に対する萎縮効果、悪用や濫用、濫訴が起こらないよう十分に注意する必要がある。特にプロバイダ自身による萎縮に繋がらないよう検討することが極めて重要であり、ガイドラインの策定や法改正も視野にいれて検討をおこなうべき。
その他
(3) 現状の発信者情報開示の実務における課題
現行のプロバイダ責任制限法における発信者情報開示の実務においては、実務関係者等から以下の課題が指摘されている。
ア 発信者を特定できない場面の増加
第2章に以下の趣旨を踏まえることが望ましい。
同一マンションに全て同じIPアドレスを割り当てている場合、ネットカフェやホテル・無料Wi-Fiからのアクセスの場合、大規模サイトで接続先ipアドレスを1つに特定できないケースなど、そもそもプロバイダ自身が発信者本人を特定出来ないケースについての現状の把握と政府としてプロバイダやその他事業者への支援の可能性について検討を行う
7 留意事項
・意見等が 1000 字を超える場合、その内容の要旨を添付してください。
行政機関が政令や省令等を定めようとする際に、事前に、広く一般から意見を募り、その意見を考慮することにより、行政運営の公正さの確保と透明性の向上を図り、国民の権利利益の保護に役立てることを目的とするパブリックコメントの性質から意見募集の姿勢として留意事項にて強調される事が不適切と考えます。