声明・意見書

DL違法化、リーチサイト規制のパブコメを提出致しました

投稿日:2019年10月29日 更新日:

9月30日に文化庁より「侵害コンテンツのダウンロード違法化等に関するパブリックコメント」について募集を行う旨の発表がありました。AFEEでは消費者視点でのエンターテイメント表現の自由の観点から、意見募集に応じることとしました。

役員会案(リンクは会員限定)を提示し、会員の皆さまに役員会案についてのコメントを頂き、10月27日日曜日の会員総会にて、全会一致で採択されました。その結果に基づき本日文化庁にパブコメを提出(提出したExcelはこちら)致しましたのでご報告致します。

パブコメ説明URL:https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185001067&Mode=0

著作権法改正(ダウンロード違法化等)についてのパブコメ

1.基本的な考え方

(1)「深刻な海賊版被害への実効的な対策を講じること」と「国民の正当な情報収集等に萎縮を生じさせないこと」という2つの要請を両立させた形で、侵害コンテンツのダウンード違法化(対象となる著作物を音楽・映像から著作物全般に拡大することをいう。以下同じ。)を行うことについて、どのように考えますか。①~⑤から一つを選択の上、回答欄に記入して下さい。

① 賛成
② どちらかというと賛成
③ どちらかというと反対
④ 反対
⑤ 分からない
  未回答

【3(3)に記載】
1(1)を未回答とした理由
本来は、「深刻な海賊版被害への実効的な対策を講じること」と「国民の正当な情報収集等に萎縮を生じさせないこと」という2つの要請を両立させることは必要である。しかしながら、今回の著作権法の改正は実効的な対策でないことから、未回答とした。

現に海賊版の公衆送信(送信可能化)が行われている(行われていた)サイトにおいて、マンガをダウンロードさせているサイトはほとんど存在しない。文化庁はダウンロードを違法化するのであれば、ダウンロードが海賊版被害を拡大しているとの立法事実を提示するべきである。既に審議会で提示された被害額についても算出根拠が曖昧で、ストリーミングを含んだ数字であることにも留意が必要である。

また、リーチサイトも海外にあるサーバーの場合の実効性については疑問が残ることから、ダウンロード違法化およびリーチサイト規制による海賊版対策への実効性は乏しいと判断する。

付言すれば、本問が本パブコメの最初に提示されることで、①または②を選択せざるを得ないことによって、あたかも本法案(ダウンロード違法化およびリーチサイト規制)の推進が、パブコメの全体結果への賛成と取られかねないような統計処理が行われることを危惧する。

2.懸念事項及び要件設定

(1)侵害コンテンツのダウンロード違法化を行うことによる懸念事項として、下記(ⅰ)~(ⅶ)のそれぞれについて懸念される程度を、①~⑤から一つを選択の上、回答欄に記入して下さい。その他、懸念事項があれば(ⅷ)に記入して下さい。

(ⅰ)インターネット上に掲載されたコンテンツは、適法にアップロードされたのか違法にアップロードされたのか判断が難しいものが多いため、ダウンロードを控えることになる。

① とても懸念される
② どちらかというと懸念される
③ あまり懸念されない
④ 全く懸念されない
⑤ 分からない

【2(1)viiiに記載】
仮に、故意のみを違法とする規定を置いたとしても、「著作物の寛容的利用*」により現在の著作物の利用において暫定的均衡が保たれているとの前提に立つのであれば、前回の著作権法の改正案はその均衡を破ることになる。このことは、実際に処罰される、されないではなく、著作物の利用の萎縮に対する影響が非常に大きい。

*ここで、「著作物の寛容的利用」とは、実際には権利者が権利行使しないことを利用者が信じている状況で、利用者がある程度公正な範囲内で利用することができることを指している

(ⅱ)重要な情報をスクリーンショットで保存しようとする際に、違法画像等(例:SNSのアイコン)が入り込むことが、違法になる。

① とても懸念される
② どちらかというと懸念される
③ あまり懸念されない
④ 全く懸念されない
⑤ 分からない

【2(1)viiiに記載】
DL違法化の範囲から除外すべきであり、「原作をそのまま」「まるごと」といった要件を付与するべきである。

(ⅲ)漫画の1コマのダウンロードや、論文の中に他人の著作物の違法引用がされている場合の当該論文のダウンロードなど、ごく一部の軽微なダウンロードでも違法になる。

① とても懸念される
② どちらかというと懸念される
③ あまり懸念されない
④ 全く懸念されない
⑤ 分からない

【2(1)viiiに記載】
DL違法化の範囲から除外すべきであり、「原本をそのまま」「まるごと」といった要件を付与するべきである。

(ⅳ)原作者の許諾を得ずに創作された二次創作・パロディのダウンロードが、違法になる。

① とても懸念される
② どちらかというと懸念される
③ あまり懸念されない
④ 全く懸念されない
⑤ 分からない

【2(1)viiiに記載】
二次創作やパロディのダウンロードについては、前回の法案上除外されているという認識であるが、引き続き本件については、国民に分かり易く告知するべきである。その際、あたかも二次創作やパロディが現行の著作権法上違法であるという前提での説明は避けるべきである

(ⅴ)無料で提供されているコンテンツ(例:無料で配布・配信されている雑誌、漫画、ネット記事)が違法にアップロードされている場合に、そのダウンロードが違法になる。

① とても懸念される
② どちらかというと懸念される
③ あまり懸念されない
④ 全く懸念されない
⑤ 分からない

【2(1)viiiに記載】
有償・無償の区別ではなく「権利者の利益を不当に害しない」などの要件とし、特に権利者が権利を主張しないものについては、その対象外とするべきである。そもそも、権利者の利益を不当に害しない行為を罰すること自体が、保護するべき法益に照らし、規制を掛けることに十分な理由がないと考える。

(ⅵ)権利者がアップロードを問題視していない(黙認している)場合でも、ダウンロードが違法になる。

① とても懸念される
② どちらかというと懸念される
③ あまり懸念されない
④ 全く懸念されない
⑤ 分からない

【2(1)viiiに記載】
「権利者の利益を不当に害しない」などを要件とし、特に権利者が権利を主張しないものについては、その対象外とするべきである。そもそも、権利者の利益を不当に害しない行為を罰すること自体が、保護するべき法益に照らし、規制を掛けることに十分な理由がないと考える。

(ⅶ)権利者により濫用的な権利行使がされる可能性や、刑事罰の規定の運用が不当に拡大される可能性がある。

① とても懸念される
② どちらかというと懸念される
③ あまり懸念されない
④ 全く懸念されない
⑤ 分からない

【2(1)viiiに記載】
主観要件で要件を限定する手法は、「一般的に日本において、刑事事件上、故意は認められやすい」などの主張もあり、主観要件で限定する場合は、確定的故意または、ダウンロードによって再度販売や拡散するといった目的にする目的犯に限定するなどが必要である。また、主観要件で限定した場合には、当該ダウンロード対象の一部に違法なものが含まれていた場合、全部のダウンロードを諦めなければならないということも忘れてはならない

「違法とはするが、運用上実際には罪に問わない」というような、萎縮を目的としたシグナリングを求めて立法することは、後の世において警察権力がそれを「法文通りに」適用することで、万人を恣意的に逮捕・処罰することを可能にする。このような未来の危険は現在において「そのような危険はない」と断じることができない。何が違法であり何がそうでないかを詳細に法文として定めないことは罪刑法定主義に違反する。

(2)上記の懸念などを踏まえ、具体的にどのような要件・内容とすることが望ましいと考えますか。下記(ⅰ)及びその回答に応じた(ⅱ)~(ⅵ)の回答欄に記入して下さい。

(ⅰ)侵害コンテンツのダウンロード違法化に関する文化庁当初案(添付1~3参照)について、どのように考えますか。①~⑤から一つを選択の上、回答欄に記入して下さい。

① 適切である(文化庁当初案のままで良い)
② 適法となる対象が広い(文化庁当初案よりも違法化の対象を絞り込むべき)
③ 違法となる対象が狭い(文化庁当初案よりも違法化の対象を広げるべき)
④ 具体的な要件の適否は分からないが、バランスの取れた内容とすべき(政府における検討に委ねる)
⑤ 要件にかかわらず、侵害コンテンツのダウンロード違法化自体を行うべきでない

(ⅱ)~(ⅴ) 回答不要のため略

(ⅵ)(ⅰ)で⑤を選択した場合、その理由を教えて下さい。

現に海賊版の公衆送信(送信可能化)が行われている(行われていた)サイト「漫画村」「AniTube」「MioMio」等において、マンガをダウンロードさせているサイトはほとんど存在しない。また、サイバーロッカーを用いたマンガのダウンロードについてもその被害が報告されているが、その実態はまだ解明されたとは言いがたい。つまり、今回のダウンロード違法化範囲拡大は実効性が極めて乏しいと言え、立法事実がないと言わざるを得ない。少なくとも、今回議論を再開するに当たっては、再度、立法事実となる数字(マンガだけでなく、論文やプログラムについての対象と含めるのであればそれも)をきちんと検証することからはじめるべきである。さらに、既に述べたように、警察権力による大衆への恣意的な捜査が可能になり、誤ったシグナルを与えるなど一般のインターネットの利用を極めて萎縮させる効果が大きい。そのため、現時点では要件にかかわらず、侵害コンテンツのダウンロード違法化は行うべきでない

3.その他

(1)侵害コンテンツのダウンロード違法化に関して、上記のほかに御意見があれば、記入して下さい。

仮に著作権法を改正するにしても以下のような要件による限定をするべきである(再掲もあり、以下は予備的な主張であることに留意)

  • 対象を著作物全体ではなく、マンガに限定するべき
  • 刑事的な手続きをはじめる前に、事前の警告を与えるなどしてもなお、反復して行為が行われる場合に刑事手続きを進めるべき(途中でやめた場合も、当然、民事的な責任を免れる訳ではない)
  • 当初の映画/音楽と同様に刑事罰を付加しないようにするべき
  • 研究目的や裁判上の証拠収集など正当な理由があった場合は、違法化の対象から排除するべき

シグナリング効果を目的として立法することは、警察による恣意的な捜査が行われるようになるばかりか、一般的に「運が悪い」「たまたま」といったメッセージを伝えることにもなりかねず、同目的での立法は行うべきでない

(2)リーチサイト対策に関して御意見があれば、記入して下さい。

前回のパブコメでも記載の通り、ハイパーリンクはインターネットにおける根幹技術であり、その発展を支えてきたことは言うまでもない。また、まだ見ぬ新たな技術発展に必要な技術となり得る可能性がある。そのリンク行為について、一部違法化を行うことは、表現の自由の侵害であり、インターネットの発展を阻害する。

リーチサイト「はるか夢の址」の運営者に実刑判決がなされるなど、現行法で共同正犯やほう助の位置づけで捜査や起訴が行われている。仮に、「現行法で対処出来ていない」という主張があるとすれば、法的な整備の問題よりも、警察による捜査の力量など他の問題に依存する可能性が大きい。また、海外にあるサーバーに対して実効性がないとの指摘もあり、この点、文化庁は立法の前に、さらに調査を進めるべきである。

仮に著作権法を改正するにしても以下のような要件による限定をするべきである(再掲もあり、以下は予備的な主張であることに留意)

  • 客体による制限/リーチサイトの定義が曖昧であるため、客体を「原本をそのまま」「まるごと」掲載して「原作者の利益を不当に制限する」マンガ・アニメに限定するべきである(113条第2項第1号の規定では十分ではないと考える)
  • 刑事的な手続きをはじめる前に、事前の警告を与えるなどしてもなお、反復して行為が行われる場合に刑事手続きを進めるべき(途中でやめた場合も、当然、民事的な責任を免れる訳ではない)
  • サイト運営について、非親告罪ではなく、親告罪とするべき

特に非親告罪とされるサイト運営者・アプリ提供者への規制については、いかなる社会的な法益を守るためのものであるかが明示されておらず、文化庁はその点を明示するべきである

(3)その他、海賊版対策全体に関して御意見があれば、記入して下さい。

「漫画村」の運営者が逮捕されるなど、実際に現行法で捜査や起訴が行われている。反作用が大きいダウンロード違法化を議論する前に、まず現行法に基づく対策努力を時間をかけて行うべきである。特に今回の対策はダウンロード側の規制に偏っており、アップロード側を罰するやり方を先に模索するべきである。

海賊版サイトの対策は、著作権法改正だけでなく、国際的な協調やその他の対策(匿名訴訟の実現、プロバイダ責任制限法改正によるアップロード者の特定簡素化、ドメインやホスト・CDN利用時の実名登録の厳格化、防弾ホスティング対策、アドネットワークに対する働きかけ、正規マンガ版の流通のサポート、捜査機関の高度化等)を行うべきであり、著作権法改正のみを先行して行うのではなく、総合的な対策を検討した上で、著作権法で改正すべき範囲を議論するべきである。

また、著作権法に限定して言えば、かりにフェアユースが導入されていた場合、今回のダウンロード違法化やリーチサイト規制についても、フェアユースの範囲内での利用が認められていれば、このような社会的な反対運動にならないことも想定された。併せて、フェアユースの検討も行うべきである。

今回の著作権法改正については、民間視点では、今春の著作権法の改正反対の民意が無視されたように映るものであり、まずは、文化庁自身が今春の著作権法改正についての振り返りを行い、公表することが、最低限、この議論を進めていく上でのスタートラインであると考える。特に、前回報告書で「積極的な意見」として7つ、「慎重な意見」として3つの意見を挙げたが、実際は、全面拡大に積極的だった委員は2人だけで、違法化の範囲を限定すべきなど、消極的な意見も含めて述べた委員が9人と大勢とだったこと(https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1903/04/news069.html)については、国民が不信感を抱いている点であることを指摘しておく。

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