お知らせ

児童ポルノの名前を変えようの署名で活躍中の廣田恵介さんにインタビューをしてきました

17.モニ子
モニ子:
署名「児童ポルノではなく【児童性虐待記録物】と呼んでください」の発起人の廣田恵介さんにインタビューしてきたって聞いたけど


3.パッチボウズ
パッチボウズ:
うん。インタビューをしてきたよ。とても熱い方で「いろいろ行動できることはある!」という信念を強くもった方だったよ。


-まず自己紹介から簡単にお願いします。

廣田:いま現在でフリーライターを16年やっています。もともと大学は映画学科を出たこともあり、映像にかかわりたかったのですが、実際にはむしろ映像関係の本の企画・編集・執筆をやってる感じですね。本をまるまる一冊企画・編集することもたまにあります。技術的なことができる人はこの業界では意外と少ないので。自分で言うのも何ですが、フリーライターできちんと稼げている人は少ないと思います(笑)

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-「署名」ということに関わったきっかけは何でしょうか?

廣田:2009年に『マイマイ新子と千年の魔法』(編集注:原作は高樹のぶ子の自伝的小説『マイマイ新子』)というアニメ映画が公開されたのですが、配給宣伝がほとんど行き届かず打ち切られそうになったんです。そこで「署名TV」を活用して、根強いファンの声をネット署名で集めようと思ったんですね。ネットは好きな人はとことん好きですから。そうしていくうちに上映を求める声が広まっていきまして、また自分も上映に続くような運動をガンガンやりまして、GIGAZINEさんも取り上げてくれたりとか。結局、日本のどこかで1年以上やってるというロングランになりました。

-「署名」そのものが「観たい」という輪を広げていったわけですね。

廣田:そういうことです。署名そのものの数は余り集まらなかったのですが、それに付随して周りの人をどんどん巻き込んで行くことができました。結果的にロングランになったこともあり、署名の効果を実体験しましたね。

-話は変わりますが「表現への規制」についてどのような事がきっかけで取り組まれたのですか?

廣田:スウェーデン映画で『ぼくのエリ 200歳の少女』という吸血鬼を題材にした映画があって、むかし男の子だった少女が登場するんですが、残虐シーンなどもあって映倫が審査すらしてくれないんです。映倫が審査してくれないとほとんどの映画館で上映されないですから、フィルムを修正して「PG12」になったんですけど、そのときに気付いたのが、自分たちが知らないうちに「規制されたものしか見せてもらっていない」んじゃないかと。実は修正があったシーンは少年の性器が切り落とされた跡が出てくるシーンなのですが、そのシーンを修正してしまっては、話の根幹からかわってきてしまうんです。

考えてみればポケモン・ショック(TVアニメ「ポケットモンスター」の点滅シーンがあちこちで同時多発的に子どもたちを中心に癲癇を生じさせてしまった事件)のときも、そういう点滅シーンだけじゃなく様々な表現への規制が現場にかかってきました。でも現場は文句はいうけれども、何もしないじゃないかと。それで『ぼくのエリ』のときは、映倫に公開質問状を書いたんです(現在もこの公開質問状はネット上で読めるとのこと)。

また「戦い方」という問題もあると思うんです。福島第一原発の事故の後、福島産の野菜を「西日本産」と書くような食品偽装事件が多発したわけですが、それらに対する処罰がまちまちだったんです。それでそういった業者を刑事告訴をしたりしたこともあります。

そういう体験から思ったのが「戦いには相手がいるじゃないか。文句があるならネット上で何か書くだけでなく、本人のところに行ってみろよ」ということなんです。ネットやツイッターだけが戦いの場じゃない。実際に会う、署名する、口下手でもいいから電話する、手紙やFAXを送る、いろんな方法があるはずなんです。そして知りもしないうちからケンカ腰で行くのではなく、「できれば相手も仲間に引き入れる」くらいの姿勢が大事だと思うんです。そういう意味で平沢勝栄さんの事務所にも行きましたし、ユニセフ協会にも行きたいと思っています。

-確かにネット上の言説だと、安易に「敵/味方」と白黒をつけたがってしまいますよね。

廣田:そこをすぐ「当たり前じゃん」と言われてしまうのがどうかと思うんです。その前に動いて、グレーゾーンの存在を体感してみたらどうだと。

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-今回のGMOのフィギュア排除に対する「Change.org」の話もそういった延長ですよね

廣田:秘密保護法のとき「これは国家機密だけではなく、趣味の世界にも影響は及ぶ」と思ったんです。で、実際に児童ポルノ禁止法に「単純所持禁止」を加える…という話になったとき、まさにこれは内心の自由の問題に入り込んでると。しかし一方で性被害に遭っている女性も多いわけで、そこは葛藤もありました。でもフィギュアであれば被害者はいないじゃないかと。これならばいけると思ったんです。

でもまた戦い方の話になりますけど「圧倒的な勝ちを求めてはいけない」とも思うんです。できれば相手も仲間に引き込むくらいの姿勢でいきたい。そうやって昔からの伝統的な戦い方のようなあまり攻撃的ではない、幅広い共同戦線を張っていくことで、皆が納得するような本当の意味での問題の解決に結び付けていきたいんです。で、それを思いついたらあなたがやれ…と。そういう意味も込めて、すぐ署名サイトを作ったわけです。

-最後に皆さんへのメッセージをどうぞ。

廣田:林海象(はやしかいぞう)さんという映画監督がいらっしゃって、その方は28歳まで映画とは全然別のアルバイトしかしていなかったんです。で、自分が映画を撮りたいという想いから、500万円の元手を作って、16mmフィルムでいきなり撮影を始めてしまうんですね。その行動力です。まずは、人に会えばいい。まず踏み出してみればいい。この話を知ったは自分が21か22ぐらいの話ですが、今、林さんは立派な映画監督になられています。「バンダイの社長に会いたい、社長にしか会わない」と手紙を出したら、社長は出てきませんでしたけれども専務が会ってくれましたよ。やってみることだと思います

あと議員会館に行くときとかもそうですが具体的なスケジュールには気をつけました。それこそどこからどこまで電車で何分、みたいな。それが不可能になった場合も備えて代案も用意しておく。これは映像や書籍の企画を作った体験から学んだことですけれども、代案がないと単なる批判に陥りがちなんです。それは避けなければならないと。署名を20,000人集めることが目標でも、まずは1人、10人という積み重ねで達成できることなんです。大きなプロセスを分解して、それぞれで考えていく、で達成できたら、その範囲で喜んでいくことも大切だと思っています。

オタクには自分で動こうとしない欠点があると思います。だから「オタク=ロリコン」「オタク=ネトウヨ」みたいなレッテルを外から貼られがちだし、えてしてオタクの人は褒められていないから自信喪失になっている。でも、だからこそ、最初の一歩を踏み出すために「自信を持て!! そうすれば必ず承認される」と言いたいです。まずは、ネットの世界(=自分がいつもいる世界)からちょっと違う所で行動するだけでも変わってくると思います。僕だって自分の顔に自信は無いし、話し下手だからこうやって行動するのはとても勇気がいることなんです。

「戦い方」ということでいうなら、あえてアグネス・チャンを呼んでもいいじゃないですか。それで彼女の可愛い萌え絵をいっぱい描く。彼女もそうやって可愛く描かれた絵は否定はできないでしょう。そして、自分に接点が一見して無さそうなところにも進む。例えば「表現の自由」以外にも、あの法律・法案が何なのかを真剣に考えないといけないと思うんです。たとえばこの法律で「保護」されるはずの青少年はどう考えているのだろう…とか。

-本日は長時間にわたり、熱いお話をありがとうございました!

change.org 児童ポルノではなく【児童性虐待記録物】と呼んでください。
※署名をまだされていない方は是非!
廣田恵介さん Twitter(@Hirota1967
廣田恵介さん website(550 miles to the Future

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